【木村拓哉の原点】ジャニーズ激震、17年前にメリーさんが激怒したある事件

Photo by 『ロングバケーション』DVD

　赤西仁（29）がジャニーズを脱退というニュースは、久々に衝撃を持って伝えられた。芸能関係者、マスコミ関係、ジャニーズ周辺でもこの事態を予測していた者は少なく、それだけにインパクトが大きかった。

　元ジャニーズとしての立場でこの「事件」を考えてみると、ジャニーさんはもとより、メリーさんの心情が気になる。というのも、所属タレントの独立、脱退に最も神経を尖らせるのは、このメリー喜多川さんだったからだ。

　振り返ると、田原俊彦の独立時の怒りは凄まじかった。この時のネガティブな印象が、その後のメリーさんを決定付けたとも言えるだろう。今でこそ、田原俊彦に手紙を送るなど丸くなったところも見られるが、僕らの時代は、ジャニーズジュニアの間でもそれはそれはとてつもなく恐い存在だった。ジャニーさんはいいけどメリーさんに知られたら「マズイ！」なんていうことは多々あった。

　そんなメリーさんの「タレント脱退トラウマ」が、最もいびつな形で表に出たことがある。それは1996年５月、SMAPから森且行が脱退し、そのまま芸能界を引退した一連の騒動だ。デビュー前から人気、実力共に突出してSMAPを引っ張っていた森且行の脱退は一般紙でも報じられた「事件」だった。すでに国民的アイドルとしての階段を上りはじめていたSMAPだけに、森本人による脱退報告の記者会見まで開かれたのも前代未聞だった。その時はリーダー中居正広が付き添う形で「夢を応援」するという形で送り出したが、ジャニーさんもメリーさんもはらわたが煮えくり返っていたという。

　前身の「スケートボーイズ」から１年後に結成、下積み４年を経てようやくＣＤデビューにこぎつけたものの、光GENJIの圧倒的な人気を前に、ジャニーズファンからも邪魔者扱いされることも多かったSMAP。その間、グループを人気者にした立役者は間違いなく森且行だった。だが、森は自らの夢を追ってあっさりと脱退する。メンバーも不安になったが、メリーさんの憤りは想像以上のものだったはずだ。

　奇しくも木村拓哉が突出した人気を獲得したのは、森の脱退会見が開かれた時期に放映中の月９ドラマ『ロングバケーション』（フジテレビ）がきっかけとなった。平均視聴率29．６％、最高視聴率36．７％（※ビデオリサーチ調べ）という驚異的な数字を記録し、「ロンバケ現象」なる言葉まで生み出した。もし、あの時、『ロンバケ』が当たっていなかったら......。そう考えると、この奇跡的なタイミングが、今の木村拓哉、しいては今のSMAPの礎になっていることがわかる。SMAPはほかのジャニーズと比べても、決して平坦な道は歩んでいないのだ。

　それだけに、メリーさんとしても「SMAP森脱退」を印象的には美談にまとめたが、その後は、「SMAPは最初から５人。森なんてメンバーいたっけ？」とばかりに、メディアに対して森且行が映っている映像や画像の使用禁止令を出した。ジャニーズで「森且行」の名前が解禁されたのは、それから17年も時を経た後のこと。オートレースの世界で賞金ランキング入りし、所属する川口でトップに立ってからのことだ。メリーさんが、森解禁を許したのは、ジャニーズを辞めてもトップに立てた森の実績もあってのことだろう。それは、田原俊彦にしても同じはずだ。

　森脱退によって危機感を持ち、結束力が高まったSMAP。今の木村拓哉を生み出したのは、1996年５月６日の「森脱退会見」とも無関係ではないだろう。そして彼らが選択した「メンバーが脱退しても解散しない」という大原則は、今でも後輩のNEWSやKAT-TUNに受け継がれている。

　赤西仁のジャニーズ退社を聞いて、こんなことを思い出した。

「帰ってきたカルチャースタァ☆平本淳也」

Profile●ジャニーズ出身の実業家、作家、投資家。10歳でジャニーズ事務所から芸能界入り、30歳過ぎまでアイ ドルを続け、現在もテレビや雑誌で活躍を続けるなか、月間100万アクセスを獲るカリスマブロガーとしても知られる。22歳のときに物書きデビューして以 来、34冊の書籍を発表。http://ameblo.jp/junya-hiramoto/

Written by 平本淳也

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