【AKB48総選挙】元ジャニーズ平本淳也が渡辺麻友に大感動したワケ

Photo by 渡辺麻友 制服図鑑 最後の制服

　今年の「AKB48・37thシングル選抜総選挙」。最後は雨の中、駆け付けたオレの願いも通じて大逆転劇となった。渡辺麻友、悲願の１位は会場となった味の素スタジアムの７万人に相当の感動を与えた。なんたってファンでもないオレが、ガチで感動したんだから間違いない。

　この日は雨、しかも関東地方は注意報も出され、味の素スタジアムがある調布にはピンポイントで雷雨が襲った。屋根のない会場で配られたのはピンクの雨カッパ。大島優子いわく「てるてる坊主」の７万人が見守る中での一大イベントにご招待頂いたオレも「てるてる坊主」になって関係者席から注視。開票の前に行われたライブを雨に打たれながら楽しみ、寒くて震えながら開票イベントを観覧。古株や唯一知っている「フレッシュレモン」こと市川美織の名文句を久しぶりに堪能した。

　開票のほうは、5月21日に発表された「速報」から推測すれば、上位の先行逃げ切りは毎年常套の流れで、ある程度のところで「キマリ」の雰因気が漂うのだが、今年はなんとなく奇跡の逆転を期待せずにいられなかった。

　そして迎えた第２位の発表。呼ばれる所属名でこの日の結果がわかる。オレはなぜか心の中で何度も「HKT」とつぶやいていた。ここでHKTがアナウンスされれば、渡辺麻友の第１位が確定する。まゆゆの１位を自然と願っていた。推しメンでもファンというワケでもないが、オレは渡辺麻友の１位を大きく期待していた。

　12歳でAKB48に加入して今年で20歳になった渡辺麻友。この数年間、次期センター候補と言われ続けてきた彼女だが、アイドルとして輝ける時間はそんなに残されていない。上位陣に定着しているのは素晴らしいが、第１位となると話は別だ。上位安定者だとしても１位を狙える機会は多くない。もしかしたら最後のチャンスとも言える今年の総選挙。前田敦子と大島優子の激闘や勢いある後輩たちを見てきた彼女だが、その内面は不安定だったに違いない。頂点に立つのは今しかない。渡辺麻友からはそんな悲壮な覚悟まで感じられた。

　では、渡辺麻友の何がそんなにいいのか。オレが好きなのは、その面構えとびしっとした姿勢だ。その真っ直ぐな視線は穢れなき「正統派アイドル」そのものだ。これはオレが元ジャニーズのアイドルだったということもあるのだろうが、見ていて気持ちいいくらいである。

　何度も繰り返すが、オレはAKB48のファンではない。とくに推しメンがいるわけでもない。AKB48も総選挙も他人事だったオレだが、渡辺麻友を目の前で見ていたら無償に応援したくなり、ついには「まゆゆの１位」を切望していた。HKT48を全国区に押し上げた指原莉乃の功績も計り知れないが、渡辺麻友はAKB48グループ全体の顔として頂点に君臨した。

　他にも、３位の柏木由紀、６位の山本彩など順位を上げてきたメンバーを見る限り、AKB48は正統派アイドルとして輝きを取り戻してきた印象が見られた。そのなかで事件と言えるのは松井珠理奈の順位だった。速報では３位と期待を抱かせたものの、フタを開けてみれば一つ順位を落として４位。これには会場の全員が驚いたことだろう。ざわめきの声が大きく響いたように、松井珠理奈は「悔し涙」を流した。同じように期待の島崎遥香も順位を下げたが、こちらは「塩対応」なキャラクラー通りで、あっけらかんとした対応が逆に安心感を与えた。

　この日の模様はとても書ききれないが、AKB48がAKB48であるために何が求められているのかが垣間見られた有意義なイベントだった。雨天の中、編集長・久田将義氏と席を並べて、じつに濃密な８時間を過ごさせてもらった。この面白さはやはり総選挙が生み出すガチンコの空気から生み出されるものだろう。そして、オレのような元アイドルが自信を持って推せる渡辺麻友の存在が、観る者に大きな感動を与えてくれたと断言できる。AKB48の新たな物語が始まろうとしている。

「帰ってきたカルチャースタァ☆平本淳也」

Profile●ジャニーズ出身の実業家、作家、投資家。10歳でジャニーズ事務所から芸能界入り、30歳過ぎまでアイ ドルを続け、現在もテレビや雑誌で活躍を続けるなか、月間100万アクセスを獲るカリスマブロガーとしても知られる。22歳のときに物書きデビューして以 来、34冊の書籍を発表。http://ameblo.jp/junya-hiramoto/

Written by 平本淳也