この本は間違いなくヒットするだろうね」ある週刊誌編集者は言う。
「かつてのノンフィクションのヒット作、『憚りながら』(後藤忠政著)くらいの部数はいくんじゃないかな」(前出・週刊誌編集者)。
また、著者の「工藤明男」氏は「歌舞伎町五人衆」とネットで祭り上げられているうちの一人をもじったものだと見られ、こういう点が関東連合周辺の事情に詳しい人間が書いたと推測される。勿論、「歌舞伎町五人衆」などは暴力団の世界には知られていない。ネットで自作自演し、膨れ上がったマニアの妄想のたまものに過ぎない。そういう点も踏まえて、のペンネームだと思われる。
確かに、今、話題の関東連合元幹部の告白本となれば、それなりのスマッシュヒットが見込める。何よりも、比較される『不良録』(双葉社)の石元太一容疑者のそれより、芸能人の具体名が散見されるからである。
近来の芸能事務所が出版界に対する、強気な訴訟姿勢を見ていると大変危い本だと言える。ただ、芸能人の実名がこの本のキモとなっているのだろうし、話題を呼んでいるのも確かである。しかし、特に吉本芸人のクダリなどは特に、慎重を期さなければならないがかなり赤裸々に書いてしまっている。
吉本興業と言えば、島田紳助引退問題で取りざたされ、暴力団との付き合いで問題になった企業である。暴力団排除条例が徹底されている現在、この本の内容は出版社にとって出すのが早すぎた感が否めない。もし『憚りながら』の二番煎じを狙っているのなら、著者は引退した組長であるのに対し、本書は現在進行形の事件の関係者である。かなり事情が違っているのではないだろうかと。
Written by 日刊ナックルズ編集部
Photo by Stuart Miles
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