(メンバーAさんが在籍する3Bjr. 画像はhttp://www.3bjr.com/より引用)
ISIS関連の動画(殺害映像の一部)などが規約に抵触したらしく、YouTubeのアカウントを凍結されるというメディアとして大失態のテレビ朝日。テレ朝の倫理観よりも何かと悪役にされるネットの動画サイトであるYouTubeの方がモラルにうるさかったという事なのだから、赤っ恥もいいところである。今後テレ朝で「ネット=社会悪」といったロジックが垂れ流されたら笑ってやるべきであろう。
さて、そんなマヌケなニュースが駆け巡った直後に、今度はシャレでは済まない事故が報じられた。1月28日に番組の収録に参加した12歳のアイドルが、スタッフが用意したヘリウムガスを吸ったところ意識不明の重体に陥り、1週間も意識が戻らず病院で治療を受け続けていたというのである。
専門医の話では「脳の血管に空気が入った」との事で、それが本当ならばまだ命の危険がある上に後遺症の心配も大きい。また1週間経って少女に回復の兆しが見えたところでやっとテレ朝幹部らが記者会見を開いたという点も非常に疑わしく、会見で述べた「少女の容態を見守っていた」といった文言の全てが白々しく聞こえてしまう。
さて、これを書くべきなのか隠すべきなのか悩むところではあるのだが、この「ヘリウムガス」とは単に声が変わる面白グッズというだけではなく、自殺に使われるケースも増えて来ている危なすぎる代物である。
アングラ系サイトでは「自殺用アイテム」として知られていた
この "ヘリウムガス" と "死" が直接結び付けられて知られるようになったのは今から数年ほど前。海外の医師が難病患者へ安楽死の手段として教えた事が発端となり、それがアングラ系の自殺サイトなどで拡散され「練炭の次はヘリウムだ!」となってしまった。
日本でも14年に28歳の男性と女子校生のカップルが遺書を残してヘリウムガス自殺したほか、それ以前にも自殺ではなく殺人犯が犯行に用いたケースや、危険と知らずに吸引した子供が死亡する事故等も起きている。
市販されているヘリウムガスには、大きく分けて「ジョークグッズ用」と「バルーン用」の2種類があり、どちらもヘリウムガスである事に変わりはないのだが、前者と後者では酸素の割合が違う。通常ジョークグッズ・パーティグッズとして流通している、いわゆる声が変わるヘリウムガスには酸素が一定量含まれており、これならばあまりに非常識な使い方をしない限りは安全とされている。だが後者はより純度が高いため、こちらを吸うと脳に酸素が行き渡らない等の症状が起き、最悪の場合は死に至る。また死なないまでも一生後遺症に苦しむ事になる可能性が高い。
これだけ聞くとヘリウムガスが毒物かのように思えるが、実はガス自体に毒素が含まれている訳ではない。あくまで生命維持に必要な酸素が足りなくなる(酸素の占める割合が減る)事によって様々な症状が引き起こされるため、ヘリウムガスでなくとも酸素が殆ど含まれない気体を吸い込めば同様の危険な状態に陥る。ただ、ヘリウムガスは比較的簡単に入手できてしまい、純度の高い物であってもネット通販などで買えてしまうため、手が出しやすい(=被害が多い)という話なのだ。町内のお祭りや学校のイベント等で純度の高いヘリウムガスのボンベを目にする機会もあると思われるが、死なずに済んだとしても重大な後遺症が残る可能性が高いので、ふざけ半分で吸引する事は絶対に避けて欲しい。
さて、ではジョークグッズ用の酸素入りのヘリウムガスならば安全と言い切れるかというとそうでもない。少なくとも、身体が出来上がり切っていない子供に吸わせるべきではない商品も多数出回っており、そうした危険がある場合には年齢制限が明記されている。今回の件では、テレ朝の記者会見での報告によると、大人用と書かれた商品をスタッフが気付かずに使用したそうだが、吸引したのは12歳の少女であり、3~4歳の子供という訳ではない点が引っ掛かる。あまりに運が悪すぎたという事もあるだろうが、バラエティ番組での事だし、ロクな指導もないままノリで一気吸いでもさせたのだろう。
事実がどうだったのかは今後の調査(場合によっては捜査)に任せるよりないが、テレビ屋特有の自分達の無知さを顧みもしない思い上がった体質が改善されなければ、今後もこうした不幸過ぎる事故が発生し続けるだろう。なんにせよ、今は少女の回復と、深刻な後遺症が残らぬ事を祈るよりほかない。
Written by 荒井禎雄
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