素材でしか勝負しない『ハロプロ・オーディション』を独占配信したAbemaTVの未来

2017年11月23日 

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少女たちの決断〜密着!!ハロー!プロジェクト20周年オーディション〜 は無料放送中です

 

『ASAYAN』を彷彿とさせるダンスや歌唱指導の厳しい先生たち


 モーニング娘。'17、アンジュルムなどを擁するハロー!プロジェクトが20周年を記念してオーディションを開催。その裏側に密着した番組『少女たちの決断〜密着!!ハロプロ20周年オーディション』がAbemaTVで配信中だ。

 モーニング娘。といえば、テレビ東京系のオーディション番組『ASAYAN』で結成。その後の追加メンバーオーディションも、『ASAYAN』などで密着されていたが、ここ数年に行われたオーディションについては、その裏側はほとんど公開されていない。しかし、今回は20周年記念オーディションということもあってか、その様子を惜しげもなく明かしている。

『少女たちの決断』では、当時の『ASAYAN』を踏襲するかのように、ダンスや歌唱指導の先生たちに厳しく叱責され、追い込まれていく候補者の姿が映し出される。しかし、それでもハロプロメンバーになりたいと思い、真剣に取り組む少女たち。視聴者は、そんな姿に感情移入し、"将来の推しメン"を見つけるのだ。


もちろん「秋元康的番組」にも先行投資するAbemaTV


AbemaTVで『少女たちの決断』が配信される一方で、地上波では『ラストアイドル』(テレビ朝日系)が放送中だ。秋元康プロデュースのアイドルグループ「ラストアイドル」のメンバーになるため、毎週挑戦者が登場し、暫定メンバー1人とパフォーマンスで対決。1人の審査員が独断で勝敗を決め、勝者がメンバーとして残るというルールだ。オーディションというよりもバトル要素が強く、あるいは"当たりが出れば残して、ハズレが出たら捨てる"という意味で、スマホアプリのガチャにも近い感覚だ。

『ラストアイドル』に比べると、『少女たちの決断』はオーソドックスなアイドルオーディションだ。候補者たちの個性や才能、キャリアなどを総合的に判断するというものであり、『ラストアイドル』のような一発勝負ではない。言い換えれば、『少女たちの決断』を観たところで、"ガチャ"のような刹那的快感を得られるわけではないのだ。

その点で『少女たちの決断』は愚直なのかもしれない。必ずしも刺激的ではなく、視聴率至上主義が今なおまかり通る地上波では成立しない番組なのかもしれない。しかし、アイドルオーディションの醍醐味がここに詰まっていることも事実。さらにこの醍醐味を体感したいというアイドルファンも少なくないはずだ。だからこそ、『少女たちの決断』を配信するAbemaTVは貴重な存在である。


アイドル・オーディションを通して我々は未来を知った


幸いAbemaTVでは過去の放送回も無料で観ることが可能で、何度も見返すこともできる。候補者たちの人となりを掘り下げることが重要な『少女の決断』が、地上波ではなくAbemaTVでの配信だったということはむしろ大きなメリットだ。そもそもハロプロは20年続いており、今回のオーディションで合格する少女たちもまた、これから何年もハロプロメンバーとして活躍していくことだろう。そういう意味でも、刹那的な快感ではなく続いていくストーリーを堪能するのが『少女たちの決断』であり、ネットで配信されるのはむしろ必然だともいえる。

刹那的な快感を求めるのも悪くはないが、そうではないコンテンツをしっかり発信していくことの意義は大きい。エンターテインメントの可能性を縮小させないためにも、ネット番組に期待せずにはいられない。


文◎大塚ナギサ

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