2月21日、俳優の大杉漣さんが急性心不全でお亡くなりになったという一報が駆け巡りました。速報が入ったのは奇しくも大杉さんが出演しているドラマ『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系列)の放送中で、「ドッキリかと思った!」と呟いている方々も散見できました。
大杉さんが亡くなって4日が過ぎようとしていますが、ワイドショーやニュース番組ではこの話題で持ちきりです。そして、出てくる話が大杉さんが普段からとても自然体で優しい人柄だったことが分かる逸話ばかり。本当に惜しい人を亡くしてしまったのだなあと嘆息してしてしまいます。
ところで、大杉漣さんの死因は「急性心不全」とだけ発表されており、詳しいことは分かっていません。一体この「心不全」というのは、どういった状態のことを指すのでしょうか。ローズマリークリニック院長(日本形成外科学会専門医)齋藤智尋医師にお伺いしました。
「心不全は、心臓のポンプ作用がうまく働かなくなり、全身に十分な血流を送れなくなった状態をいいます。それが急に起きたのか、徐々に起きたのかで『急性』、『慢性』に分類されます。
ですから、心不全はあくまで結果であって、その原因が他にあると考えられます」
――大杉漣さんは腹痛を訴えて病院に運ばれた、とありますが、腹痛が原因で、しかもその後急死してしまうということは何が考えられますか?
「心不全の場合、心筋梗塞、狭心症、弁膜症、不整脈、高血圧などが代表的な原因疾患にあげられます。
よって、腹痛でそのまま『急性心不全』というのは、『急性心筋梗塞による放散痛』だったと考えるのが教科書的かと思いますね」
――なるほど。実は痛みはお腹ではなかった可能性もあると。
「そうですね。腹痛と言うと、一般的には消化器疾患を考えがちですけど、心筋梗塞とか狭心症が原因で腹痛を訴えるという患者さんは結構いらっしゃいます。
『急死する腹痛』ということで考えると消化管出血なども考えられますけど、それだと急性心不全にはならないと思います」
つまり、「お腹が痛い!」と訴えていても、本人はそう感じていても実は違う場所から来ている痛みであるケースはままある、ということです。大杉漣さんの痛みは心筋梗塞や大動脈解離などから来る痛みだったのかもしれません。
ということは、原因が分からないまま心臓が止まってしまった時も死因は「心不全」となってしまいます。こういうケースの場合、家族はどのように対処すれば良いのでしょうか。斎藤医師に聞きます。
「心不全ですと告げられるのは病名か死因かで随分違ってくると思いますが、ちゃんと治療していれば心不全でも割と日常生活普通にできる人もいます。なので原疾患の治療をしっかりやるのが得策かと思います。
死因として『心不全』と言われたら......原疾患を調べるなら解剖しかないですね」
大杉漣さんのように誰からも愛される人が突然いなくなるなんて、家族や友人、仕事仲間、そしてファンも、やりきれないことでしょう。私たちに素晴らしい作品をたくさん残してくれた大杉さんのご冥福をお祈りいたします。(文◎編集部)
協力
ローズマリークリニック(https://rosemary-clinic.com)
院長・齋藤智尋
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