保毛尾田保毛男はつまらない

2017年09月30日 LGBT ゲイ フジテレビ

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  1980年代のお笑いブーム。僕もとんねるずにハマった口でした。特に、ニッポン放送のオールナイトニッポンは夢中になって聴きました。また、「ザ・ベストテン」(TBS系列)で「雨の西麻布」を歌う前に客にもみくちゃにされ、石橋貴明がマジ切れながら歌う姿は、新鮮でした。今では「放送事故」みたいなタイトルでYouTubeにあげられる素材でしょう。そう言えば「オールナイトニッポン」では、「バーニングの周防さん」の名前をバンバン出しており、現在では考えられません。

 とんねるずの芸は一言でいえば、「破天荒」というより「無邪気」でした。若手時代の松嶋菜々子のセクハラまがいのいじりっぷりも「破天荒」と評価されていたのでしょう。現在では無理でしょうが。台本通りとは言え、きついなあと思っていました。が、特に笑えませんでした。ダウンタウンの方が破天荒だったけど、センスが僕には感じられました。とんねるず、ラジオだと面白いのになあ。


 だからテレビで保毛尾田保毛男のネタを見ても、面白くなく、自然に流して見ていました。が、メディアの世界に入る前の僕でさえ、ホモ(LGBT)の人をネタに、いや小バカにしているんだなぐらいは感じられたものです。

 小学生や中学生なら、「ホモ」だとか「デブ」だとかの言葉を使って、無邪気に笑いにしたりするでしょう。が、ある程度、人生経験を経た大人や社会人なら「ん? この言葉は使わない方がいいんじゃないか?」と分別に基づいた、黄色信号が頭の中で点滅するものです。

 こんな例を出します。僕が「実話ナックルズ」の編集長をしていた時代、隣の編集部「漫画実話ナックルズ」に身長180cm、体重180kgの男性新入社員が入ってきました。彼はその特異な体格からたびたび、漫画でネタにされました。が、漫画でもあるいは、編集部内でも「デブ」と言った言葉は彼に対しては使われなかったと記憶しています。

 言葉狩りや表現の自由とごっちゃにしてはいけません。極論を言います。何でも言っていいのが表現の自由・言論の自由だとします。その代わりどんな代償があるのかわからない、どんな言論で対抗されても致し方ないのが表現の自由です。もしかしたらそんな事では済まされないような、想像以上のペナルティが課せられる事がある事を覚悟しなければならないでしょう。その覚悟がフジテレビ側にあったでしょうか。


 言葉や表現は、変わっていきます。差別用語も同和や路地のようになっていきました。残しておかなければならないものと、改良しなければならないものがあります。そこを勘違いしたのではないでしょうか、フジテレビ。(久田将義)

《参考文献》同性愛入門 ゲイ編 伏見憲明 (著)

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