かわいらしい女性が、カメラの前でただただ音を立てながら物を食べる"咀嚼音"動画が大ブームとなり、音フェチたちを大満足させている昨今。いにしえより根強く熱狂的なフェチを有する"角栓抜き"動画がいま、危機に瀕していることをご存知でしょうか。
<"角栓抜き"動画とは>
小鼻に浮き出る白い(または黒い)プツプツとした突起、通称"角栓"を、毛抜きやピンセットを使用して抜く様子を、マクロレンズカメラで緻密に映した動画。"抜き"のほか、にゅるにゅると出てくるさまを映す"押し"や、鼻パックで一網打尽にする"逆田植え機"(注釈:筆者がいま考えた)もある。検索ワード、「角栓抜き」「鼻 毛穴」などでヒットする。
世界中にフェチがいるジャンルで、Youtubeのコメント欄を見ると、日本の動画投稿主にも海外勢からの絶賛コメントが多いのも特徴です。カメラの撮り方や抜き方で、動画主の人気がはっきりと分かれ、人気動画主には、「どこのピンセットを使っているんですか!?」などといった、興奮気味な質問が飛び交います。
人気ジャンルなだけあり、投稿主の数も多い分、良し悪しに差があります。海外制作の動画は大味といいますか、雑に押し出し、後処理も汚く、あまり魅力的ではありません。
一方、日本の人気動画主が作る動画には、「そう......! これ......これだよ......これがほしかったんだよぉぉ......!」と、15分以上もあるただ角栓を抜いているだけの映像に、固唾を飲んでかぶりついてしまうほどの魅力を秘めているものです。
ひとくちに"角栓抜き"フェチといっても、そのフェティシズムは人それぞれ。
畑は乾いている方がいい。
いや、じゅわりと脂が出ている方が見応えがある。
スッとスピード感を保ったまま抜いてほしい。
いや、抜くさまをゆっくりと、じっくりと、秒単位で魅せてほしい。
ひとつ抜いたら、隣のその見えている角栓を抜く、"連続抜き"してほしい。
いや、抜いた角栓を片付けてから、カット割りしてから抜いてほしい。
押さないでほしい。
いや、押してもいいから最後まで出しきってほしい。
小物ばかりだからもっと"育てて"ほしい。
いや、育てなくていいから早く新作動画をアップしてほしい。
抜いたあとの毛穴をピンセットでくぱぁしてほしい。
いや、くぱぁはしなくていい。
抜いた角栓をもういちど毛穴に戻し入れてほしい。
いや、戻さなくていい。
抜いたあとにお目見えする産毛も抜いてほしい。
いや、それはマニアックすぎる。
......みな、自分の欲望を満たすため、遠慮なく己の"抜きどころ"を動画主に晒します。とあるひとりの人気動画主なんかは「視聴者の要望に応えたい」という一心でその言葉通り身を削って角栓を抜き続け、もう鼻はボロボロです。
Youtubeを怒らせるハメに......
そんな熱狂的なジャンルですが、今年に入り、なぜかYoutubeで動画が削除される事態に。抜きの手際の良さやカメラワーク、毛穴いじりに定評のあった人気動画主のブログによると、「内容が不適切」という理由で、「動画の削除や広告の非表示などのペナルティを受けた」というのです。
これは今年、有名YouTuberたちの動画が次々と削除されたり、年齢制限が課されたり、アカウントが停止されたことで、「YouTubeの規制が強化された」と噂された時期と一致します。それら削除動画は主に、どのすぎた悪ふざけが主でした。
前述の人気動画主以外にも、年齢制限を課された角栓抜き動画主もあらわれましたが、一体なぜYouTubeは「不適切」と判断したのか。
「"抜き差し"や"くぱぁ"がマズかったのかもしれません。あれをしちゃうと、アダルトビデオと遜色ないですからね。やばい、話してて興奮してきた......。あとは普通に、グロテスクだと思う人もいたのかもしれません。それならば見なければいいのに......検索しなければたどり着けないジャンルなんだから......」(角栓抜き動画ファン)
一方で、「咀嚼音フェチには、音をオカズにとして絶頂に達する人もいるくらいなのだから、角栓抜きばかりが槍玉に上がるのは納得がいかない」(ほかの角栓抜き動画ファン)という声も。
なにひとつコンテンツポリシーに違反した動画をアップしているわけではないのですが、毛穴に角栓を抜き差しするさまが"不適切"とされる時代が到来したのでしょう。(文◎春山有子)
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