先週、菊地成孔さんとのトークライブに出演してきた。コラム集『時事ネタ嫌い』を菊地さんが出版されたので、時事ネタ好きの私にゲストのお声がかかったのだ。
テーマは「時事ネタで振り返る、2007年から2013年の大衆論」。
まず話題になったのが「おすもうさん」。2007年から現在まではSNSが発達した時期にも重なる。誰もが気軽に意見を表明できる。そうなるとツッコミという断罪がエンドレスになる。
潔癖症の時代に矢面に立たされたのがおすもうさん。あのファンタジー、グレーゾーンを受け入れることができるか、「じつは、こちら側の度量が試されているのではないか」という話になった。
ただ、そうはいっても「相撲界なら何をやってもいいのか」というわけではない。
あの頃相撲界を叩いた人の言い分に「まずいことがあったら隠ぺいする体質」という批判・疑惑があった。
たとえば2007年の「時津風部屋 かわいがり暴行死事件」。
「時津風部屋 無断で火葬準備 遺族『隠ぺい』批判」(東京新聞・2007年9月27日 http://archive.is/lCy9X)
この事件は怖い。「無断で火葬準備」も怖いが、遺族自らが「放っておいたらうやむやになる」と行政解剖を依頼してやっと愛知県警が動きだしたという「行間」が怖かった。
さて、ここからは完全に私の下世話な妄想です。
相撲部屋には有力なタニマチがたくさんいる。相撲協会自体も日本の権威、エスタブリッシュメントである。
もしエスタブリッシュメント同士「ひと声でつながりあう関係」だったとしたら......。相撲協会は何かを隠ぺいするにはもってこいの体質にもなる。
「おすもうさん」個人はのん気でゆるやかでも、相撲協会には不気味で強大な力が漂う。
そこへ先週飛び込んできた「琴光喜逮捕」のニュース。NHKから引用する。
《大相撲の元大関、琴光喜が名古屋市で経営する焼肉店で不法滞在の外国人を働かせていたとして、出入国管理法違反の疑いで逮捕されました。警察の調べに対し、容疑を否認しているということです。》 (http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131204/k10013565661000.html)
琴光喜は「知らないはずはない」と考えるのが普通だ。
しかし気になるのは、琴光喜は貴闘力とともに2010年の野球賭博事件で追放された人物だということ。
ふたりはこの年の理事選挙で貴乃花を担ぎ、相撲協会の保守派を相手に戦った。その報復として、今までは見て見ぬフリしてきた賭博を問題にされ追放された可能性も言われた。
そのあと、貴闘力も琴光喜も焼肉屋を開店。それぞれの店は繁盛し現在に至る。
でも、もし相撲協会が「歯向かったヤツは徹底的に許さない」という「本当は怖い相撲協会」だったとしたら。
「不法滞在の外国人が働いているという情報が寄せられたことから、警察が捜査を進め」とあるが、情報提供者は「一般市民」なのだろうか。
ニュースの最後はこう伝えている。
《琴光喜のしこ名で、平成19年に大関に昇進しましたが、野球賭博をしたなどとして、3年前に日本相撲協会から解雇されました。
これに対して、処分が重すぎて不当だと主張して解雇の取り消しなどを求めましたが、ことし9月に東京地方裁判所が訴えを退ける判決を言い渡したため、現在、控訴しています。》
そうだった......。
琴光喜は現在も相撲協会と戦っていたのだ。 今もなお、協会にとっては目障りな存在だったのだ。
彼はまた「うっちゃり」をやられたのか? 勝手な陰謀説が浮かんだ。
私は心配になって「追放&焼肉屋」で共通する、いっぽうの貴闘力の近況を調べてみた。そしたらこんな事件が勃発していた。
「大仁田、貴闘力の焼き肉店で『無断飲食』」(日刊スポーツ・http://www.nikkansports.com/battle/news/p-bt-tp0-20131129-1224581.html)
《大仁田厚(55)が、大相撲の元関脇貴闘力の鎌苅忠茂氏(46)から受けていた対戦要求を受諾した。28日、都内の焼き肉店を訪問。経営する同氏が不在と知ると、肉など4万5000円相当を無断飲食。帰り際に店内に飾ってあった大相撲優勝時の写真を持ち逃げし「取り返したければ、後楽園で待っていろ」と言い放った。》
目が離せない展開だが、この件は相撲協会とは関係ないと思う。
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Written by プチ鹿島
Photo by Eckhard Pecher
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