話題のジブリの新作映画『かぐや姫の物語』(高畑勲監督)。いい映画だったが、私は不覚にも「猪瀬直樹の物語」に思えて仕方なかった。
キャッチコピーが「姫の犯した罪と罰」。もういけない、「直樹の犯した罪と罰」に思えてくる。
物語はこうだ。
竹林にやって来た翁は、光る不思議な竹に気づき、近づくと小さな女の子が現われた。そのあとも何かを示唆するように、翁が竹林に行くと光り輝く「金」を授かる。
ここでいう「小さな女の子」は猪瀬直樹であり、「翁」は石原慎太郎であり、「金が出る竹林」は徳洲会の暗喩である。
翁は、姫を一人前にするのが自分の使命だと考える。田舎で飛び回るやんちゃな姫を都に連れてゆき、一人前の姫に教育していく。
まるで、「在野」で作家として活動していた猪瀬直樹が石原慎太郎に言われて都庁に入り、遂には副知事から都知事に登りつめるシーンではないか。
さらに見応えがあるのはここからだ。
かぐや姫はあえて無理難題を言って周囲や結婚希望者達を困らせる。自分の美しさだけにしか興味を持たない都の人々の虚飾に嘆き悲しむのだ。
猪瀬もまた都庁の職員を怒鳴り散らした。直樹の振る舞いに都の職員は嘆き悲しむ。直樹のやんちゃなイタズラは、つい先日も借用証の虚飾で周囲を困惑させた。
かぐや姫は遂に「ミカド(帝)」からも求愛される。その噂は広く知れわたる。そういえば猪瀬直樹も「ミカドの肖像」を書いて有名になった。
しかしかぐや姫はミカドの求愛を拒否した。そして「こんな場所にはいたくない」と地球に嫌気を感じた途端、月に帰ることになる。
直樹もまた「ミカドの絶頂」でやめておけばよかったのに、身分不相応の都の知事になってしまい、「金」とか「名誉」とか、この世のどろどろとした部分を知る。
「かぐや姫の物語」は、前半の田舎の野山で駆け回る姫が、躍動感があって楽しそうで生き生きとしていた。
考えてみれば猪瀬直樹も小泉内閣の行革で道路公団にツッコミをいれてるあたりがもっとも躍動感があり楽しそうだった。生き生きとしていた。
かぐや姫は、この世は薄汚れているけれど、でもこの世で「生きること」のエネルギッシュさに憧れた。だからすべてを忘れ地球に来た。猪瀬直樹も権力のエネルギッシュさに憧れ、文化人の座を投げ打って都庁に来た。
公人になった以上、「みやこびと」になった以上、怪しい金があったら大衆からツッコまれるのは猪瀬自身も承知していたはずだ。竹取りならぬ、命取りになると覚悟していたはずだ。
姫、そろそろ月へ帰ろう。
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Written by プチ鹿島
Photo by ユリイカ 2013年12月号 特集=高畑勲「かぐや姫の物語」の世界/青土社
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