都知事選の話題で「後出しじゃんけん」というキーワードがよく言われる。私も同じテーマで3年前に書いたことがある。ただ、都知事選ではなく前田日明の後出しじゃんけんについてだ。
http://tablo.jp/serialization/pkashima/news000451.html
1987年の熊本県で勃発した「人吉事件」。
当時、プロレス界にはUWFという「思想」があった。関節技やキックが売り。その革新的なUWFは団体経営に行き詰まり、業務提携という形で古巣の新日本プロレスに戻ってくる。
リング外でもしばらくギクシャクとした関係が続いた。そこで当時の新日本プロレスの副社長兼レスラーとして現場をまとめていた坂口征二が熊本の人吉の旅館で親睦会を開催したのだ。
しかしレスラーたちは見事に酔っ払い、あちこちでケンカをはじめて旅館が台無しになった。前田日明は若手売り出し中の武藤敬司に「じゃんけんで勝ったほうが顔面を殴ろうな!」と提案し「全部後出しで勝ったんだよ。」と後に笑顔で証言している。
私は去年、自分のラジオ番組のゲストに武藤選手が来たとき「人吉事件」のことを聞いてみた。
「若干プロレスに対する思想が違うからギクシャクしてた。酒が入ってくると(UWFの)思想の部分にかみついてね。じゃぁ、じゃんけんで勝ったら殴ろう、と」(武藤)
前田さんの後出しはあったんですか?と尋ねると
「そう、そう、後出し。で、どういうわけかみんなで殴りあったあと、裸になって外に飛び出して道路の真ん中で語りあった。」
「旅館は各選手のゲロでトイレが詰まってしまった」
当事者の証言に、大笑いしながら、ワクワクしながら話を聞いた。
そして先日。別の人の証言がテレビで話されていた。古舘伊知郎氏である。「人志松本のすべらない話」であの事件について話していた。レスラーは酔っぱらっているから記憶も曖昧だが、当時実況を担当していた古舘アナの第三者としての証言は貴重である。
印象的だった古舘証言は以下。
・ジョージ高野が床の間の柱にドロップキックをして柱を折った。
・大量のゲロが流れ出た。
・裸になったレスラーたちをタクシーに案内した。
・最後、じゃんけんに勝った方が旅館のロビーの大きな壺で負けた方を殴るという喧嘩の司会をした。ここで前田はジョージ高野にじゃんけんで勝った。
「ゲロ」と「裸」のデイテールは武藤選手の証言と一致する。
そして興味深いのは、武藤だけでなくジョージ高野相手にもじゃんけんで勝っている前田日明である。アキラ兄さんの笑顔がまたしても浮かぶ。
都知事選もレスラーの飲み会も「後出し」が有利ということが改めてわかりました。
Written by プチ鹿島
Photo by 前田日明デビュー35周年記念DVD-BOX
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