プチ鹿島の「余計な下世話」

スパコン疑惑で「アベ友」関係にまで飛び火|連載・プチ鹿島の「余計な下世話」

2017年12月16日 

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abeposter.jpgなんで「アベ友」という言葉なんだろうと思ったが、おそらく......

私は新聞を6紙(朝日・読売・毎日・日経・産経・東京)とっているが、その理由はゴシップが好きだからだ。

夕方に発売される東スポ、日刊ゲンダイ、夕刊フジなどを「さらに」楽しむには、一般紙で前提となる事実を確認し、徐々に刺激をあげていくのが面白いと気づいた。カロリーの高いものをいきなり楽しんでもよいのだけど、前菜から徐々に行く感じ。

逆の使い方もある。

夕刊紙&タブロイド紙で刺激のある情報を読んだあとは「さて、この中のどの話が一般紙で後日報道されるだろうか」と様子を見る。これを「ゴシップを寝かせる」と私は呼んでいる。

タブロイド紙を軽視する人もいるけど、先行して書いちゃう精神は後に「あ、あのときとっくに書いていたな」と感心することもしばしば。一般紙、スポーツ紙、夕刊紙&タブロイド紙。各キャラを利用すれば新聞に「出ている情報」だけでそこそこ楽しめる。

そういう意味でいま面白いのは「スパコン助成金詐欺」報道だろう。


『助成金詐欺容疑で社長ら逮捕 スパコン企業、利得数億円か 東京地検』(毎日新聞12月6日)


《スーパーコンピューターの開発などを手がけるベンチャー企業「ペジーコンピューティング」(東京都千代田区)を巡る詐欺事件で、東京地検特捜部が逮捕容疑で詐取額とした約4億3100万円のうち、社長の斉藤元章容疑者(49)=千代田区=側の不正利得は数億円に上るとみられることが捜査関係者への取材で分かった。》


これらの記事を朝刊で読んで夕方を待つ。すると、こんなド派手な1面見出しが飛び込んでくるのである。


『自民激震 新たなアベ友事件』(日刊ゲンダイ12月6日)

いきなり刺激的。3面には、


『安倍政権に激震 助成金逮捕のスパコン社長は"アベ友記者のスポンサー"』

という見出しも。


《「アベ友」まで捜査の手は及ぶのか。5日、今をときめくスパコン企業の社長が詐欺容疑で東京地検特捜部に逮捕され、政界は騒然だ。この社長は、安倍首相と昵懇で知られる元TBS記者の山口敬之氏の"スポンサー"と言われる人物なのである。》(日刊ゲンダイ・同)

どうだろうか。「スパコン」とか「助成金」とか小難しそうな話題だったが、いきなり興味がわくのである。夕刊紙のおかげである意味身近な話題になったのだ。

この日以降の日刊ゲンダイは連日「アベ友」をキーワードにしている。なんで「アベ友」という言葉なんだろうと思ったが、おそらく「森友」と同じ語感にしているのだろう。そして語感だけでなく事件の構図も同じとにらんでいるのだ。朝刊紙にはできない味わいである。あとはこの構図が朝刊紙にも出てくるのか、こないのか。

すると12月10日に朝日新聞が朝刊で、


『スパコン人脈 国と接点』 『 ジャーナリストの家賃負担』

ときた。


《16年3月には、安倍政権の内幕を描いた著書があるフリージャーナリストとAIの研究財団を設立。関係者によると、このジャーナリストは、東京都千代田区の29階建てビルに自身の事務所を構え、斉藤容疑者側が家賃を負担していたという。》(朝日・同)

朝日が「フリージャーナリスト」のことを書いてきた。まずは淡々と、という感じだ。

これからどう展開するのか。ゴシップレベルで終わるのか、それとも一般紙でも焦点のひとつになるのか。一般紙とタブロイド紙の両にらみである。

最後に。
日刊ゲンダイは先ほどの記事の中で、


《受給額は最低でも「35億」》

という小見出しを使っていた(12月6日)。35億をカギカッコで強調していた。

これはブルゾンちえみの「35億」というフレーズを意識したのだろうか。ゲンダイ師匠はしれっと笑いもとりにきたのだろうか?

やっぱり新聞は面白い。


文◎プチ鹿島

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