クモ膜下出血から生還した神足裕司さんの『スーパー闘病エッセイ! 一度、死んでみましたが』(集英社)、読了。これ、何が怖いって意識を失っているとき、家族が「もうダメかもしれない」と話していたのも実は全部聞こえていたって告白も怖いんですけど、「それも全て忘れてしまった。もっと鮮明に覚えていたはずだ。どんどん忘れていく」というように、新しい記憶をどんどん失っていく描写がホント怖いんですよね。これは、「忘れていたが、思い出したことがある。また忘れるので、書いておく」「30分書いたら、やめる。そして、また書く。書いたことは忘れているので、読んでから続ける」という感じで書き続けた、文字通りの備忘録。「サイバラ(西原理恵子)に会ったらしい。とても嬉しそうにカラオケをして、蟹を食ったという。覚えていないのだ。あんなに会いたがっていたのに、ボクの脳みそはどうかしている」というように、そんなことすらすぐ忘れていく神足さんなんですが、初音ミクのイベントを観に行き、「頑張っている初音さんにジンときた。頑張っている感じが、最近にない頑張りだった」と、なぜか初音ミクに触発されるところは最高でした!
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Written by 吉田豪
Photo by 一度、死んでみましたが(集英社)
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