どこから嗅ぎつけたのか、引越しをしてしばらくすると必ず現れるNHKの集金人。
「テレビはありません」
「NHKは見ません」
と丁寧にお断りしても、
「支払いは国民の義務です」
などと玄関口で大声を張り上げ、なかなか帰ろうとしない厄介者だ。2017年12月6日、最高裁大法廷がNHKの受信料制度を合憲とする初判断を示したのは記憶に新しいところだが、しかし全国には900万を超える未払い世帯がある。
男性職員による受信料着服や強姦致傷など、それでなくても不祥事続きで国民から不信感を持たれているNHKは、今後どのような形で徴収するつもりなのだろう?
未払い世帯は都心部に多いという統計が出ているが、ここで一つ疑問なのが芸能人は全世帯きっちり支払っているのかということ。有名無名問わず、いつ出演するかもわからない局なのだから支払っていて当然という見方もある。がしかし、実は筆者の古い知り合いでNHKの番組に度々出演し、それどころかMCを務めたことのある某有名人Mが存在する。彼曰く、
「自宅と事務所にしょっちゅう集金人が来るけど、一度も払ったことねえな」
インターフォン越しには応じるが、「わかるものが不在」の一言でいつもお引き取り願っているのだそう。NHKからギャランティをもらっているのに罪悪感はないのかと尋ねたところ、「仕事をもらって出演するのと、国民という立場で金を支払うのは別問題。国営放送でもない局からなぜ徴収されなければいけないのか、ちゃんとした理由を未だかつて聞いた覚えも無い」と一笑。
M氏はこう続ける。
「ただ、ここ10年ぐらいは芸能人専門の覆面調査員が社内にいるらしくて、オファーをする前にその人物及び近しい関係者、例えば事務所の社長だとかマネージャーは支払っているかどうか調べて、払っていない有名人には仕事を振らないと聞いたことがある。熱血漢のやばいディレクターやプロデューサーだと、仕事を差し上げますが収録前に支払ってくださいと口頭注意してくるそうだよ。ちなみに、紅白出場歌手ともなると実家まで調べ上げられ、払ってないと出演者候補者リストから外されるらしいよ」
紅白の観覧申し込み条件の一つに「受信料を払ってる場合のみ」という文言がある。10年ほど前から明記されるようになったので、その覆面調査員が湧いて出てきた時期と符合する。なんとも気味が悪い。
ところで、なぜM氏は支払ってもいないのに出演し続けているのか?
「僕はだってNHKでの初仕事は25年以上前だから、覆面調査員も当然支払っているものだと思い込んで調べてないんじゃないのかな。でも今更バレて払ってくださいと言われても逆に困っちゃうから、その時はアシスタントにわかるものが不在ですで撃退してもらうよ。僕は一生、払うつもりはないよ」
取材・文◎中川健二