日本最大の匿名掲示板「2ちゃんねる」の有料会員の個人情報3万件が流出した。さらに流出したデータをもとに、2ちゃんねる上で自作自演、誹謗中傷、荒らし行為をしていた人物が特定されるなど騒動になっている。
個人情報漏えいは今後も続いていくだろう。そして個人情報は売買されていく。そこで気になるのが「個人情報」はどれくらい価値があるのか、ということだ。
◇
ネットショッピングでは個人の情報を送信するという機会が増えてくる。
ポチッとするだけで数時間後には品物が届いたりするのは、これまでの通信販売の概念を覆すものだ。
しかし買い物をするときには自分の個人情報をかきこまなければならない。ここが問題。
ネットをすこしかじったことがある人ならば住所な名前を入力する場合、ブラウザに表示されるカギマークを確認したり、アドレスがhttpsから始まるのを確認して安心を確認するかもしれない。
しかし本当に注意が必要なのは我々ユーザー側ではなく、それを供給するお店側、そうサーバー側だ。
個人情報はネットから書き込まれたら、以後はネットからアクセスできない場所に格納するのはもちろん 仮にその場所を故意に見られたしても、暗号化し、情報が漏れないようにしなくてはならない。
サーバー側がこのように対策したとしても、個人情報を抜きたいクラッカーは手の内をしっているわけだ から、当然弱い場所を攻撃してくる。
この攻撃はやがてガードを破る。破られたら守る側はさらに強いガードをつくり情報を守ることになる
このハッキングと防御という2つのことがあるからこそ、より完成度の高いシステムが出来上がるわけだ。
ところが、一部に馬鹿さんがいる。
一言で言えば、ハッキングを不法行為として取り締まろうとしているのだ。
実はこっちのほうが怖い。法律で守られたらいつまでたっても脆弱性を持つひ弱なシステムが運用され続けてしまうからだ。
さて、システムから個人情報が漏れたとするその価値はいったいいくらくらいなのだろうか? 個人情報の価値といういうのはその人のパーソナルな部分が入っていればはいっているほど高いものなのだが実際はこんな感じだ。
たとえば、
名前のみ→無価値
名前+生年月日→0.1円
名前+生年月日+勤め先→0.2円
名前+生年月日+勤め先+趣味→0.3円
複数の情報が集まると価値があがっていくのだがあがっても1円に満たない。
1万人の情報を買ってもわずか1000円~3000円ということだ。個人の情報などクソ価格ということにほかならない
しかし、これが情報を漏らされた当事者としてはどうだろう?
自分の情報が第3者にわたってしまったのは気分が悪くはないだろうか?
それに何かに悪用されてしまったらどうだろう?
不安は募るばかりだと思う。
そこで登場するのはおわびだ。提供側から「流出しちゃってごめんね」ということで対価を配るということが行われるのだがこの金額が問題だ。
まさか個人情報の価値が0.1円だからといって、それぞれに0.1円を配るわけにはいかない。現在では個人情報漏えいのお詫び相場は500円なのだ。価値にたいして500倍も高い金額が設定されているのはなぜだろうか? この金額が決められたのは少し前、yahoo BBのIDとPASSが流出してしまったときに流出した人全員に500円の金券が送られてきたことに由来する。
つまり個人情報の価格は500円という前例がこのとき初めてできたということになる。
自分の個人情報がたった500円と憤慨した人も多いようなのだが、実際は本当の価値の何百倍の高い金額だったといえる。
個人情報は集まってこそ価値がある。そこにあるあなたの情報は多勢の中の一人だ。騒いでも無駄なのかもしれない。
【関連記事】「アイツは変なとこに首突っ込んだ」関係者も謎の焼死...西成マザーテレサ不審死事件
Written by 細田時弘
Photo by Aaron Escobar ♦