2020年のオリンピック開催地が東京に決まりスポーツ界も賑わっていきますね。しかし、オリンピックなどの大舞台になると問題になってくるのがドーピングです。オリンピックやメジャーリーグ、世界最高峰の総合格闘技団体UFCでもドーピングで失格になる選手が後を立ちません。一体どうしてトップ選手はドーピングに手を染めてしまうのでしょうか。
最初に説明しておくとドーピングというのはホルモンを注射や投薬によって体内に投与、それによって身体を変えていくというものです。アスリートの場合は主に男性ホルモンが投与されます。ニューハーフの方などは女性ホルモンを投与してますね。この例からもわかるようにホルモンは体を変えてしまうほどの効果のあるものなんです。
男性ホルモンは筋肉を作ったり、スタミナや瞬発力を上げるもので、トレーニングと組み合わせる事で劇的なパフォーマンスアップ、成績アップが期待できます。懐かしいとこではベン・ジョンソンが100mでぶっちぎりの世界新記録を作りました(後に取り消しになります)。
このようにドーピングは効果が高い反面、身体への副作用も大きいのが特徴です。そこでアスリートの身体を守るため、また競技の公平性を守るため、競技団体によって禁止されています。ベン・ジョンソンのようにドーピングが発覚した場合は失格、競技資格やライセンス停止など重い罰が課されます。そのようなハイリスクの中でではなぜアスリートはドーピングに手を染めるのか?
そもそもアスリートという人種がリスクを厭わずハイリターンを求める人種であることもあるでしょう。怪我しても成績を上げるためにトレーニングを休まないというアスリートも多いです。トレーニングを始めると最初の頃は順調に伸びていきますがある程度までいくと頭打ちになります。
この壁を打ち破ることが出来たら......。
そこに、使えば劇的な効果が期待できるドーピングという禁断の果実があったら......。
使ってみたいという心境になるのも理解はできます。 しかも最近ではドーピングを隠す薬物も発達してきてます。もちろん検査法も発達してきているんですが、さらに隠す薬物も発達するというイタチごっこなんですね。いつの世も悪い技術も発達していくものです。
このドーピングですが日本のスポーツ界、格闘技界ではほとんど話題になることがありません。海外ではあれだけドーピングが発覚しているのに変だと思いませんか?
そもそも日本ではドーピングは普及してないというのもあり、「まさかやらないだろう」というのが前提になってるんですね。性善説です。マイナー競技の場合はドーピングに見合っただけの金銭が得られないというのもありますが......。また、ドーピング検査は費用や手間の問題もあり日本ではまだあまり実施しているところがないというのもあります。マイナー競技はほとんど皆無でしょう。
これからオリンピックに向けてスポーツ界のモラルやマナーの向上も大事になってきます。ここはやっぱり安全管理のためにも公的機関が統一コミッションを作って一元管理するべきじゃないでしょうか? いろいろと弊害も有りますが今のように各スポーツの運営団体がバラバラに安全管理をするよりも効果はあると思いますが......。
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Written by 大野崇(プロキックボクサー、元K-1 JAPAN選手、トレーナー)
Photo by Brett Jordan
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