村西とおる監督を描いた『全裸監督』がNetflixでドラマ化 著者の本橋信宏氏と対談|平野悠
平野:このキャバクラの勢いって今でも続いてますよね。
本橋:キャバ嬢のファッションは、当時はJ&Rだとかシャネルだとかのスーツだったけど、今はドレスですよね。ゴージャスで洗練されましたよ。だから昔のスーツは、群馬とか北関東のスナックみたいなイメージになっちゃうんですけど。
平野:テレクラはもうほとんどないでしょ?
本橋:かろうじてありますよ。取材で足立区の竹の塚のテレクラに行ったんですけど、入れ食いなんです。
平野:入れ食い!!!! 竹の塚……(メモしながら)。
本橋:でも竹の塚は悲惨だったな。一緒に暮らしている男がDVで、その男がいない時間にテレクラにかけてきてて、「今、旦那がいないから家に来てよ」なんて言われて、亭主のいない間にやるのもスリリングでいいかななんて思ったんだけど、これちょっと美人局くさいなと思ってやめたんですよ。
平野:いま俺は、藤井誠二さんの『沖縄アンダーグラウンド』を読んでるんだけど、気持ちが暗くなるんだよ、もう。でも本橋さんの風俗ルポは暗くないんだよ、これが不思議で。なんでこんなに明るく書けるんだろうって。
本橋:スタンスとしては、諧謔(かいぎゃく)で笑い飛ばしながら、どこかもの悲しいという。
『全裸監督』Netflixドラマ化
平野:村西とおるさんの本は『全裸監督 村西とおる伝』で3冊目?
本橋:『裏本時代』『AV時代』『全裸監督』と、構成で聞き書きの『ナイスですね 村西とおるの挑戦状』ですね。
平野:今回の『全裸監督』どうでした?
本橋:1997年に「ラリー・フリント」という映画が上映されたんですけど(ポルノ雑誌「ハスラー」創業者)、ラリー・フリントが南米保守主義者に襲撃されて半身不随になった実話で、それを宝島社の編集者と一緒に観に行ったんですけど、帰り道、「本橋さん、日本版のラリー・フリント書きましょうよ」って言われたんです。それが村西とおるだったんですよ。
平野:はー、そのときに。