村西とおる監督を描いた『全裸監督』がNetflixでドラマ化 著者の本橋信宏氏と対談|平野悠
本橋:大学を出て24才で物書き稼業をやりだしたんですけど、26才で村西さんと取材で知り合ったんですよ。村西さんが「裏本の帝王」と呼ばれ逮捕され、刑務所から出てきて当時勃興しだしたAV監督をやるっていうんで、助監督、シナリオを手伝えよってことになって。
平野:でも、『全裸監督 村西とおる伝』を読んで、おれまでチンポたってきて。
本橋:別に平野さんをたたせるために書いたわけじゃないですよ(笑)。でも年齢的に中折れとかしません?
平野:おれはバイアグラ使ってるから。インドから直輸入して。
本橋:いまはいろいろ種類があるっていうじゃないですか。
平野:え、教えてよ。バイアグラ使うと一週間くらい調子悪いから、健康にいいかわからないけど。…あれ、なんの話してたんだっけ。
本橋:村西さんですよ(笑)。
平野:あ、そうだそうだ。あんなにむちゃくちゃなキャラクターだし、「ナイスですね」っていう流行語まで作っちゃうし、なんで借金を50億まで抱えちゃったんだろう。
本橋:入ってきた金、全部制作費やら何やらに使っちゃうから、手形どんどん振っちゃうんですよ。怖いところからも借りてるから。
平野:すごいなぁ…(苦笑)。
本橋:でもよかったんですよ。あらゆるところから借りてるとパワーバランスがとれちゃって、勝手に手をだせないんですよ。
平野:50億ってねぇ。でもなんで復活できたの?
本橋:あの人、見栄っ張りだからなぁ。なんでも一番がいいからって、借金まで一番をとらなくても。
平野:アハハハ!
本橋:やっぱりファンが多いですよ、若い男性のファンも多いし。ここまでどん底の人もいないですから、「人生、死んでしまいたいときには下を見ろ! おれがいる」って。ここまで悪条件の人なんていないじゃないですか。トークイベントをやると、自殺志願者のひとが来て、村西さんにサインもらってはげまされて、元気をもらって帰るっていう。
平野:初期のロフトプラスワンは政治とエロとオウムでもったような店だから。そこでね、僕らもAVにはまって。4大監督といえば、代々木忠、安達かおる、ヘンリー塚本、そして、村西とおるだと思ってるんだけど。安達かおるもめちゃくちゃだったよな、羊とセックスしたり。で、それを当時のプラスワンでやったんだよなぁ。イベントが終わって、コアな客だけが残った深夜にヤバいのが始まるんだよな、まいっちゃうよ……。その中で村西さんの面白さは強烈だよね。
本橋:みんなすごいですよ。村西さんは超弩級にすごいけど、超乱作だから。
平野:知ってる知ってる(笑)。
本橋:1日3本撮っちゃったりするんだから。