村西とおる監督を描いた『全裸監督』がNetflixでドラマ化 著者の本橋信宏氏と対談|平野悠

平野:でも新宿も変わったよね。

本橋:きれいになりましたよね。

平野:むかしなんてヤク中か暴走族ばっかりだったのに。散歩に行ってもメシ食いにいっても、どこかで緊張する気持ちがあって、それがおもしろかったけど。でも、コマ劇場がなくなって、警察の徹底的な締め付けがあって風俗も消えて、今までいなかった家族連れや子どもがたくさんいて、楽になったよな。

本橋:TOHOビルもできましたしね。

平野:昔の歌舞伎町はたしかにおもしろかったですよ。坊主頭のヤクザが隊列組んでいたり、血だらけのやつがいたり。つぎからつぎへと新しい風俗ができて。そのころのおれは「新宿風俗探検隊」っていうグループを作って、風俗を全店制覇したんだよ。でもいちばん良かったのは「熟女のひざまくら」。

本橋:ひざまくらの耳かきはハマりますよね。自分の見られたくない汚い部分を見られるわけじゃないですか。耳かき嬢と同化しちゃうからこっちも純な気持ちになって、つい本名教えちゃったりして、「付き合いたい!」って。潜入取材なのに(笑)。

平野:アハハハ! キャバクラと同じ原理じゃないですか(笑)。そういう歌舞伎町の変遷に喜んでいいのか悲しんでいいのか。

本橋:ロフトプラスワンの入口前でよく取材の人妻と会いましたよ(笑)。ボッタクリもまだまだあるけど、歌舞伎町のハードルは下がりましたよね。でも、なんだかんだ言って新宿はおもしろいですよ。一見きれいだけど、結構デンジャラスなところもあるし。

平野:で、バイアグラよりいいのってなんだっけ。教えてくれよ。(了)