【現地リポート】タイ爆発事件、容疑者逮捕で解決の糸口は?
●バンコクの閉鎖された爆発現場の周辺。
「まだ解決しないのか……」
タイの首都、バンコクの中心部で爆破事件が発生してから10日以上経過。あきらめかけた声が聞かれる中、8月29日、タイ警察は犯人と見られる外国国籍の男(28)を拘束。男の借りているアパートの一室から、爆破事故に使われた証拠品を押収したことを発表した。
事件翌日、現地では号外を配布。「負傷者80人、死亡19人(実際は負傷者123人、死者20人)、「政治的な関連か」という見出し付きであったが、タクシン元首相側が犯人逮捕につながる情報提供者には、700万バーツの懸賞金を出すと即発表したため、おそらく政治的な絡みではないだろうと見られていた。
●現地では連日一面で大きく報道されている
事故発生現場は、バンコクの中心部、「エラワン廟(びょう」(※)近くであり、いわば、タイのパワースポットを狙った極めてあくどい犯行だ。また、翌日18日にはサトーン船着き場近辺で爆破事件が発生。幸い負傷者は出なかったものの、こちらも観光客であふれる場所。一歩間違えば大惨事となるところだった。
犯行声明は出されていないが、「エラワン廟(びょう」近辺での爆破事件の翌日、政府は容疑者の似顔絵を公開。現場付近に爆発物を置いたとみられる黄色いTシャツの男の動画も公開された。タイ語でも英語でもない言葉を話していたとの証言もあり、外国人による犯行の可能性が高いといわれていた矢先の拘束だった。タイでは、かねてより南部の独立をめぐるイスラム系武装集団による襲撃・爆破事件、対外的には今年7月に起きたトルコ系イスラム教徒・ウイグル族の中国への強制送還問題などがあり、テロ活動につながる余波は収まるところを知らない。
今回の事件は複数犯によるものと見られており、そのうちの一人が拘束されたわけだが、一刻も早く事件の全容の解明がのぞまれる。
(※)ヒンズー教の神、ブラフマーが祭られている。「願いをかなえてくれる神」として市民はもとより観光客の足が途絶えることがない。
Written Photo by クリス・フェラビー
一刻も早い解決を。