一般道で153キロを出して走行した男が道路交通法違反で逮捕! 検察官の鬼のような詰問に男は……
自分の行動の影響を考えられない人間の典型例
時速153キロメートル。道路交通法違反で捕まった井口隆司(仮名、裁判当時29歳)が運転する車が出していた速度です。その道路の制限速度は60キロでした。
彼が仕事を終えて職場を出たのは午前3時半、前日の朝9時から働いていたという彼は疲れはてていました。「早く家に帰って休みたい」。彼は制限速度を大幅に上回るスピードで運転をしてしまいました。
「普段は普通に走ってます。この時はついうっかりスピードを出しすぎてしまいました」
このように供述していましたが、「ついうっかり」で制限速度を90キロもオーバーするものなのでしょうか。彼は153キロを出した時の違反で在宅起訴となりましたが、この4ヶ月後にも再びスピード違反で捕まっています。反省が見えない彼に対して裁判での検察官の追及は厳しいものになりました。
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――運転してる時にメーターって見てなかったの?
「見てなかったです。100は出てるとは思ってました」
――153キロ出してた、っていうのは納得してますか?
「そんな認識はないんですけど、出してしまってました。制限速度が60キロだと知らなかったです。でも事故は起こさないように気をつけてました」
――60って知らなかった…事故に気をつけてたのに標識は見てなかったんですか?
「…はい」
――普段は出さないスピード、怖くなかった?
「すいてて他の車もいなかったので」
――すいてたら153キロ出すんだ?
「いや、そういうつもりはないですけど…」
――じゃあどういうつもり?
「……」
――犯行から4ヶ月後にまた違反、気をつけようとか思わなかったの?
「今後は気をつけます」
――今はそう言ってるけどまたやるよね?
「そんなことはないです」
――信用できない。具体的にどうするの?
「えっと…ルール守って標識も見ます」
――『普段は普通に走ってる』ってウソだよね
「いや、ウソではないです」
――日頃からスピード出してたでしょ?
「……」
――いい車乗ってるよね? スピード出るよね? 車好きでしょ? これまでの運転はどうだったんですかって聞いてるの。
「基本的には家族を乗せてるので守ってます。自分一人だと…そういう時もあったかもしれない…です」
――『かもしれない』って何? わかんないの?
「……ありました」
――事件前は朝9時から翌日4時まで仕事、疲れてた?
「はい」
――疲れてた人間が運転する153キロってどう思う? 標識も見てなかったんでしょ? 無謀だよね?
「…はい」
――危ないのわかるでしょ?
「…はい」
下された判決は『懲役4ヶ月、執行猶予3年』でした。彼は今後も車の運転はしたいと思っているようです。彼はこの事件の前にも軽いものではありますが数回の交通違反歴があります。裁判では反省の言葉も口にしていましたが、あまり車を運転させてはいけないタイプの人のような気がします。
判決を宣告した後、裁判官は説諭していました。
「真面目に仕事はしてるみたいだけど、子どもは産まれたばっかりなんでしょ? 子どもを乗せてない時でも、自分の体も大切にね。もしあなたに何かあったら子どもが悲しむから。そういうことも考えるのが父親でしょ?」
道路交通法の裁判の被告人は基本的に「誰かを傷つけよう」というような犯意は持っていません。それでも、もし事故を起こしてしまえば場合によっては見知らぬ誰かや、自分の家族や友人、そして自分自身の命をも奪ってしまう可能性もあります。
彼が今後車を運転するのかどうかはわかりませんが、もう前科も付いてしまってしることですし安全運転は心がけていただきたいところです。
ただ、他の車が一台も走ってない深夜の道路で出す153キロ、これはさぞかし気持ちがよかったんだろうな、とも思ってしまいます。
それでも、産まれたばかりの子どものためにも事故だけは起こさないでほしいと願っています。(取材・文◎鈴木孔明)