普通のアイドルヲタクよりもっとディープで原理主義な「研修生ヲタ」が見ている世界とは

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 ハロー!プロジェクトでのデビューを夢見るハロプロ研修生の定期公演「Hello! Project 研修生発表会 2018 3月 ~さくら~」が3月11日にZepp Tokyoで開催されました。昨年末に行われたハロー!プロジェクト20周年を記念したオーディションで最終選考まで進出した6人も今回から本格的にパフォーマンスに参加し、かなり充実したライブとなりました。

 多くのアイドルグループには”研修生”、”研究生”、”候補生”、”トレイニー”といった形で様々な下部組織が存在していますが、そんななかでもハロプロ研修生は一部で”桃源郷”、”終の棲家”などと呼ばれ、特別視されている存在です。それこそ「モーニング娘。やアンジュルムよりもハロプロ研修生が重要」と考えるハロヲタも多く、単なる下部組織というわけではない。もちろん「青田買いが好き」というアイドルファン特有の嗜好もあるのでしょうが、それよりも何よりも、ハロプロ研修生が魅力的だということが人気の理由といえるでしょう。

 では、ハロプロ研修生の何が魅力的なのか──。第一に言えるのは、成長するアイドルたちの姿を思う存分楽しめるということです。

「未熟なところから成長していく過程を見届けるのがアイドルの醍醐味」というのはよくいわれる話ですが、ハロプロ研修生の場合は、3カ月に1回の発表会でその成長を確認することができます。

 この「3カ月に1回」というスパンが実に絶妙。毎日のように見ていたら、変化に気づかないし、成長の速度が早い10代の女の子だと半年に1回だとまるで別人のように変わってしまうこともある。でも、3カ月に1回なら、10代の女の子たちのたちの変化を適度に感じることができるのです。

 つまり、「前回はまったくダンスについていけていなかった研修生が、3カ月後にはバキバキに踊っている!」なんていう光景が、毎回の研修生発表会で見られるわけです。頑張って結果を出した研修生たちを見たヲタの目頭も熱くなってくるってなもんですよ。

 元々パフォーマンスに定評があるハロプロなので、研修生とはいえそのレベルはとんでもなく高いのはもちろんです。「どうせ研修生だろ」と高をくくって発表会を見た非ハロヲタは総じて「プロじゃん! 今すぐデビューできるじゃん!」と驚き、そのまま「ハロプロヤバい」となってしまうこともしばしば。そして、3カ月後には研修生たちは「プロじゃん!」って思われていたところから、さらにレベルアップするのですから、これほど楽しい現場はありません。

曲がすごすぎる研修生の現場

 研修生みんなで厳しいレッスンを受けて発表会に挑んでいても、それぞれがデビューをかけたライバルであるということもまた、熱が入ってしまうポイントです。ステージのクオリティーを上げるには、研修生同士での協力も必要だけど、デビューを勝ち取るためには、仲間を蹴落とさなければならない…。そんな状況の中で、にこやかに笑いながら歌い踊る研修生の心の中を想像しようものなら、自然と涙も流れてきます。

 そして、何といっても曲がすごい! 研修生発表会では、先輩グループの楽曲のカバーと研修生オリジナル楽曲を披露するんですが、その研修生オリジナル楽曲がとにかくヤバい。基本的には、研修生と同世代の女子の気持ちを描いた曲、もしくは、研修生そのものを歌った曲ばかりで、研修生たちと楽曲とのシンクロ率がハンパないのです。

 少女ならではの葛藤や喜びを歌い上げる研修生たちに、ヲタの心の中の女子中学生が疼き始めてしまいます。特につんく♂が全曲作詞作曲を手掛けたハロプロ研修生のアルバム『① Let’s say “Hello!”』は、アイドル史に刻まれるべき名盤。ここまで少女の気持ちを鮮烈に描いたアルバムは、後にも先にも出てこないはずです。

 3月11日の発表会では新曲「正しい青春ってなんだろう」が初披露されましたが、こちらの作詞を担当したのは、”まろ”こと元アンジュルムの福田花音。歌詞の内容はほぼダイレクトに研修生活動を歌ったもので、ハロプロ研修生の前身であるハロプロエッグ出身のまろにしかか描くことができないリアルさに、研修生ヲタは客席で号泣していました。これまた素晴らしいマスターピースの完成です。まろもついに「ポストつんく♂」に向けての覚醒が始まったようです。

 そんなこんなで、アイドルの醍醐味が凝縮しまくっているハロプロ研修生。あとは、推し研修生を決めて、現場で少女たちの成長を見守るだけです。さあ、アイドルの桃源郷に足を踏み入れちゃいましょう!(文◎大塚ナギサ)