「ネットウヨク論」第10回:インターネットで情報収集する際の基礎知識「ネット上での声の大きさには理由がある 補足」ネットウヨクと “こじらせちゃった” 人々2

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だいぶ間が空いてしまったが、前回は 「ネトウヨ的思想とこじらせちゃった人々がどうやってくっついたか?」 を解説した。 その内容を読んで頂いたという前提で、今回はより具体的に対象を定め、ネトウヨ問題と心の病について説明しようと思う。 ずばり、今回のテーマは 「ネットウヨクと集団ストーカー」 である。

もしかすると「集団ストーカー」という単語は聞き慣れないかもしれないが、現在のネトウヨ問題を考察する上で、決して避けては通れない存在だ。 彼らは「被害妄想」をこじらせてしまった人々であり、「幻聴・連合弛緩・思考盗聴・思考操作・思考奪取・思考吸入……」といった病状を抱えている精神疾患者である……と言われる場合が多い。(これについて後ほどひっくり返しますので最後までお読み下さい)

まずは上記の内、あまり耳にする機会のない単語だけざっくりと説明しよう。

[連合弛緩]

思考の緩み。「○○だから△△である」という、単語同士の繋がりや関連性(連合) が緩まり(弛緩)、論理が他者には理解できない飛躍をしてしまう。「トマトは赤いから消防車と同じ色だ」ならば常人でも理解できるが、これが「トマトが赤いから明日は雨が降る」になってしまうと連合弛緩が疑われる。 ネトウヨに限らず、言動の危うい人種には、このようなロジックで第三者を「朝鮮人!」「創価学会員!」「権力の犬!」「軍国主義者!」……などとレッテル貼りする方々が大勢いらっしゃる。

[思考盗聴]

特定の周波数の電波や電磁波をターゲットの脳に照射し、その思考を盗み見る事を思考盗聴と呼ぶ……らしい。 ただし、現段階では世界中のどこを探しても「遠隔操作で思考を読み取る技術」などない。

[思考操作・思考奪取など]

自分の思考を第三者に盗まれた(思考奪取)ないしは入れ替えられた(思考吹入・考想吸入)または操られた(思考操作)と感じる病気である。 自分の考えが周囲に漏れている(思考伝播)などもあり、これらは全て統合失調症の症状と考えられている。

 

次に「集団ストーカー」の説明に移る。 集団ストーカーとは、何らかの組織が集団で個人を付け狙い、日常の生活から何から盗撮・盗聴し、電磁波や電波で攻撃をするといった嫌がらせをしてくる、という架空の被害(思い込み)だ。 この被害が訴えられ出した当初は、ストーキングしている組織として、フリーメーソン・公安・創価学会・統一教会……などが挙げられていたのだが、今では「創価学会による集団ストーキング」がシェアNo.1と思われる。 

この集団ストーカー被害者を自称する人々は、自分が受けている被害の証拠として、YouTube等に様々な動画をアップしているのだが、そのどれを見ても普通の精神状態の人間には何が何だか解らない。 例えば、行き着けの心療内科の待合室で、他の患者が映り込むのもお構いなしに録画を始め、何もない空間を映しながらカメラのマイクに向かって 「ほら解りますか? ヤツらがまた電磁波を飛ばして来ています! 耐えられそうにありません!」 といった声を吹き込んでいたりする。 より酷い動画になると、道や駅でたまたますれ違った人にカメラを向けて、「ストーカーの現行犯だ!」と掴みかかるような内容のものまである。

この集団ストーカーがどうしてネトウヨ問題と絡んでくるのかというと、ネトウヨ系団体の中に、こうした被害に苦しむ人間に向けて陰謀論をささやき、「ガスライティング」 を仕掛けた大馬鹿野郎がいるのだ。

※補足・ガスライティングとは(wikiより一部引用 

ガスライティング(英: gaslighting)は心理的虐待の一種であり、被害者にわざと誤った情報を提示し、被害者が自身の記憶、知覚、正気を疑うよう仕向ける手法。例としては、嫌がらせの事実を加害者側が否定してみせるという単純なものから、被害者を当惑させるために奇妙なハプニングを起こして見せるといったものまである。

「ガスライティング」という名は、『ガス燈』という演劇(およびそれを映画化したもの)にちなんでいる。現在この用語は、臨床および学術研究論文でも使われている。

先ほど 「集団ストーカー被害を訴えている人間は、何らかの精神疾患を抱えていると言われている」 といった説明をしたが、そう言われていること自体は事実でも、その表現が正しいかどうかは別問題だ。

現代の日本人の多くは、先行き不透明な不安の中で生活しており、誰しも知らず知らずの内に大きなストレスを抱え込んでいる。 それに起因して、人によっては鬱になったり、さらには不安に付け込まれて妙な新興宗教などに絡め取られるケースもあるだろう。 実は集団ストーカー被害という 「架空のお話」 も、そうした中の一つなのである。 不安定ながらも精神疾患にまでは至っていないというレベルの人間でも、集団ストーカーだの陰謀論だのを吹き込まれ、ガスライティングされている内に、本当に精神疾患(もしくはそれと見分けがつかない症状) になってしまうのだ。 言ってみれば、精神疾患者が集団ストーカーにハマるのではなく、集団ストーカー被害を主張する連中によって、精神疾患者が増えて行くのである。

そしてそのようなガスライティングを仕掛けていたネトウヨ系団体というのが、在特会をはじめとする数々のネトウヨ系団体の大本になった 「維新政党・新風」だ。

新風は 「日本で唯一の極右政党」 を名乗って政治活動を続けている政治団体だが、数年前に「瀬戸弘幸」 という人物が副代表に就任した。 瀬戸はブラックジャーナリスト(おそらく総会屋系)出身の危うい人間なのだが、早くからネットを活用しており、新風連という新風を応援する勝手連を展開し、その実績を評価されたのか副代表の地位を手に入れた。 この男が仲間から集団ストーカーの情報を聞きつけ、金の匂いを感じたのか 「創価学会の集団ストーカー被害を解決します!」 と、お悩み110番的な有料の相談窓口を開設したのである。

また、瀬戸らと行動を共にしていた黒田大輔という男がいる。 彼も桜井誠らと同様に 「日護会」 というネトウヨ系団体を主催しているのだが、こちらも 「創価学会による集団ストーカー問題の解決を業務にしている」 と公言して活動している。

瀬戸にしても黒田にしても「集団ストーカー = 創価学会」と決め付けて、それぞれのブログや講演などで裏も取っていない無責任な話を吹いて回っているのだが、これが不安を抱えて危うい精神状態にある人々にとっては 「ガスライティング」 になってしまったのだ。

繰り返しになるが、集団ストーカー問題のややこしさは、最初から精神疾患状態にある人間だけが引っ掛かるという訳ではない点にある。 最初は 「多少不安定かもね、疲れてるんじゃない?」 という程度の精神状態だったとしても、瀬戸らのような輩に 「お前を狙ってるのは創価だ創価だ」 と吹き込まれている内に、段々とそれを信じるようになってしまい、本当に精神を患ってしまうのだ。 今はネットという情報ツールがあるため、こうしたガスライティングが恐ろしい速度で拡散されてしまう。 当初は奇人がひとりいるだけだったものが、その奇人にアテられた人間が情報拡散を手伝う事によって、1人が2人に、2人が4人に、4人が8人に、8人が16人に……と、ねずみ講かガマの油売りかといった具合に声が大きくなり、それを目にして真に受ける被害者が増え続けてしまうのだ。(この辺りの自己洗脳の仕組みについては、当シリーズの過去ログで説明しています)

上で 「今では集団ストーカーのシェアNO.1は創価学会だ」 と述べたが、どうしてそうなったかというと、瀬戸のような反創価を掲げている連中が無責任にあちこちで吹聴して回った結果、「集団ストーカーは創価学会の仕業」 と唱える一派の声が最も大きくなってしまったからである。

瀬戸らがどこまで自覚していたかは知らないが、彼らは結果として他人の弱みや不安に付け込み、ネットを使って 「創価学会の集団ストーキング」 というガスライティングを仕掛け、自称・集団ストーカー被害者の増加を手伝ってしまった。 そしてよりによって専用の有料相談窓口を設けて自分のシノギとし、また政治活動の際の手駒(頭数・動員数) とした。 こんな輩を副代表に据えていた維新政党・新風の罪は重い。 極右だ愛国だを名乗っておいて、日本人に心の病を植え付け収入源にしよう、運動に動員しようと企むとは、新風とはいったい何が目的で政治活動をしていたのだろうか?

私は常日頃から 「ネトウヨ問題に関わるのであれば、在特会の桜井のような素人はどうでもいい。それよりも瀬戸のような質の悪いプロを追求しろ」 と言い続けてきた。 ところが、現在ではネームバリューという点で在特会ばかりが注目されてしまい、それを生み出す要因となった瀬戸ら 「プロ」 の存在が隠れてしまっている。 ネットウヨク団体の本当の病巣は、素人(在特会・桜井ら) を盾にしてシノギを続ける右翼業界のプロにあるのだ。

今になって右翼業界は慌てて在特会らを 「あんなのは素人だ!我々とは違う!」 と切り捨てにかかっているが、ではそう主張する連中は果たして維新政党・新風を批判できるだろうか? 瀬戸弘幸ら桜井誠を生み出す要因となったプロを、そして彼らが過去にやらかしてきた数々の暴走を批判できるだろうか? 少なくとも、現時点では誰もそれが出来ていない。 右翼業界の中にいる人間が一切批判せず、むしろ 「彼らも新しい運動を頑張っている」 と好意的に見ていたからこそ在特会が生まれ、そして暴走し、「右派・保守派=レイシスト」 という不名誉なレッテルを貼られる結果になったのだ。 その事実(歴史)から目を背け、在特会だけ切り捨てればいいと考えているアホを私は絶対に認めない。

余談だが、私は新風の副代表時代の瀬戸を散々批判し、直接電話をかけて1vs1の公開討論を持ちかけた事すらあるのだが、お陰様で名指しで 「荒井は在日で創価学会から金を貰って我々を攻撃している」 と吹聴されてしまった。(ちなみに瀬戸は公開討論の誘いを断って逃げました)

愛国者だ行動する保守だを名乗っておいて、追い込まれたら尻尾を巻いて逃げ、ブログに閉じこもってデマや悪口をまき散らすとは、情けないにも程がある。 瀬戸は還暦を過ぎているというのに、行動パターンが引き篭もりのネット弁慶そのものなのだ。

いくら創価学会が憎くても、在日朝鮮人が憎くても、デマはデマである。 私も創価なんざ大嫌いだが、それでも創価の言い分が正しければそれはそれで仕方ない。 ウソは何度繰り返してもウソである。 それが情報に触れる人間が身に付けておかねばならない最低限の常識だ。 瀬戸弘幸は自身をジャーナリストと称しているが、ジャーナリストを名乗りたいならば、まずは真実を追求する姿勢とは何かを学ぶべきであろう。

ジャーナリストのお仕事とは、精神状態の不安定な人間に対してガスライティングを仕掛け、集団ストーカー被害者という名の手駒にする事でも、信者に怪しげな健康食品を売りつける事でも、友達の家のベランダに落ちてた野生動物のウンコを 「創価のヒットマンの仕業だ!ウンコテロだ!」 と騒ぎ立てる事でもありません。(知ってる人しか笑えないでしょうが、後半部分も本当に瀬戸らがヤラかした事実です)

日本人ならば、まずは恥を知りなさい。

※補足

もし集団ストーカーについてより詳しく知りたいという方は、下記のサイトを読んでみてください。私などよりよっぽど詳しい方がこれでもかと解説してくれています。

集団ストーカー(ガスライティング)等の監視妄想研究レポート(http://www.johoguard.com/SSK.html)

めくるめく集団ストーカー被害者の世界にようこそ(http://wiki.livedoor.jp/watch_the_st/)

【前回記事】
「ネットウヨク論」第9回:インターネットで情報収集する際の基礎知識 「ネット上での声の大きさには理由がある」補足 ネットウヨクと “こじらせちゃった” 人々1

Written by 荒井禎雄

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SAPIO (サピオ) 2012年 8/29号 [雑誌]

みんな冷静になれば。

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