日本の”報道の自由”が脅かされている件と外圧(ガイアツ)|プチ鹿島の余計な下世話!

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「虎の威を借りる狐」という言葉がある。

『報道の自由、海外から警鐘 NGO「対首相で自主規制」』(朝日新聞4月24日)

《日本の「報道の自由」が脅かされているとする見方が海外で広がっている。来日した国連の専門家が懸念を表明。国際NGOが公表した自由度ランキングも大きく後退した。政治の圧力とメディアの自主規制が背景にあると指摘している。》

「海外から警鐘」という言い方が虎の威を借りているようにしか見えない。ああ、またかと思う。2年前に「都議会ヤジ事件」があった。女性都議に対し「早く結婚した方がいいんじゃないか」「産めないのか」とヤジが飛ばされた。

 すぐに実名が明らかになるだろうと思っていたら、うやむやになりそうな気配。アレ? と思っていたら事態が動いた。週末になって「海外メディアでも大きく報じられている」ことがわかったからだ。報道は再燃し、週明けに鈴木章浩都議が名乗り出た。結局「外圧(ガイアツ)」だったのである。

 実はヤジが発生した6月18日には、ほとんどのメディアが犯人の1人は鈴木都議だとわかっていたフシがある。議会終了直後の鈴木議員のコメントを多くのメディアがおさえていた。「重要参考人」である。しかしそれ以上の追及はせず、海外メディアが騒ぎだしてからあらためて「乗った」。

 橋下徹氏の慰安婦発言のときも似たような情景だった(2013年)。しばらくして橋下氏が日本外国特派員協会で会見をおこなうことに。すると「海外メディアの激しい追及が注目される」というような論調で日本のマスコミは固唾を飲んでいた。なんなら「たっぷりツッコんじゃってください」と期待してる雰囲気だった。最初から自分達が直接激しくツッコめばよいのに。

 で、今回の『日本の「報道の自由」が脅かされているとする』件だ。

 ふつうに考えれば、これは権力側の問題と同時にマスコミの問題だとわかる。さすがにそこはごまかせないと思ったか、冒頭で紹介した朝日の記事は最後にこう結ぶ。

《英タイムズ紙のリチャード・ロイド・パリー東京支局長は朝日新聞の取材に、「安倍政権は過去の政権よりも報道に神経質で圧力もかけているが、ジャーナリストが抵抗していれば問題はない。日本の問題は、ジャーナリストが圧力に十分抵抗していないことだろう」と話した。》

 海外からのご忠告をあえて泥臭く翻訳すれば、報じる側の「根性論」だ。

Written by プチ鹿島

Photo by BitBoy

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