夫婦間の強姦罪が認められなかった韓国でついに最高裁判決

2013年08月15日 事件 朝鮮半島 結婚 裁判 韓国

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 妻である前に「一人の女性であり人間」――。

 韓国の最高裁で5月中旬、夫婦間の強姦罪が成立し、話題となっている。韓国では2009年にも、夫婦間の強姦罪が成立したことがあるが、これはすでに離婚が合意された夫婦間の事件だった。

 

 今回の判決によって、同居している、いわゆる「正常な夫婦」間で起きた事件としては、初めて強姦罪が成立したことになる。これまで維持されてきた「正常な夫婦関係にある状態では、夫婦間の強姦を認められない」というの判例に反する形となった。

 事件が起きたのは2011年11月11日夜。

 酒に酔って帰宅した夫'(45歳)が妻(41歳)と言い争いになった勢いで、包丁で脅迫したあげく、強制的に性的関係を持った。その2日後には、包丁で妻の腕を切りつけ、強姦。検察は夫を強姦罪として起訴した。韓国の日刊紙「毎日経済」によると、夫婦は結婚10年目で2人の子供がおり、事件のあった少し前から妻の帰りがおそいことをめぐって喧嘩が絶えなかったという。

 今回の事件で検察は「配偶者にも当然、性的自己決定権があり、望まない性行為の要求は拒絶する権利がある」と主張。

 被告人側の「夫婦間には今回のような事件があっても刑罰ではなく、家庭を維持するための努力がまず必要」で、過度な刑事処罰は夫婦関係の回復の余地を完全に取り払ってしまうものとした主張していた。

 裁判所は夫に執行猶予無しの3年6ヶ月を求刑した。

 この判決に際して韓国ギャロップ社は「夫婦間の強姦罪は成立してもよいか」という世論調査を行った。

 その結果、66%「成立する」と回答。特に19~29歳の層では83%が「成立する」としている。

「成立しない」(43%)という回答が「成立する」(39%)を上回ったのは、60歳以上に限られた。

 一部では、離婚訴訟の際に、妻側が裁判を有利に運ぶために夫を強姦罪で告訴するケースが増えるのではないかと憂慮する声もあるが(「中央日報」)、メディアや世論はおおかた、今回の判決に賛成のようだ。

 韓国は1999年に国連人権委員会から、夫婦間の強姦罪が認められていないことについて「深い憂慮」を示されたこともある。

 ちなみに、日本では、1987年にあくまで夫婦の関係が破綻していることを前提に、夫婦間の強姦罪が成立したことがある。



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Written by 李ソヨン

Photo by Marc Aert

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