クアラルンプール発北京行きのマレーシア航空370便が消息を絶ってから2週間が経過した。26カ国が広範囲による捜索で協力するものの、依然として有力な手がかりは掴めていない。当初、ベトナム上空で消息を絶ったとされ、着陸説も頻繁に囁かれているベトナムでも加熱報道が続いている。その内容と市民の反応を紹介したい。
「国内の空港で警戒態勢をレベル1に引き上げ」
3月8日に消息を絶ったマレーシア航空の件に関して交通運輸省大臣は国内の各空港の警戒態勢を引き上げるようベトナム航空局に指示した。警戒態勢はレベル1に引き上げられ、各空港で乗客検査が強化されている。そのうちホーチミン市のタンソンニャット国際空港では、この2日間に制限区域内の警備員が40%増えたほか、探知機と人の目による検査も強化されている。検査区域では、乗客に対する身体と手荷物の検査も強化されており、乗客は靴やベルト、上着も脱いでエックス線検査を受けなければならないという。(VnExpress/vov.vn、2014年3月11日)
「ベトナムはマレーシア航空機の捜索に最大限の努力を払っている」
マレーシア航空によると、同社のMH370便は、3月8日0時41分(現地時間)にクアラルンプール空港を出発し、北京国際空港に同日6時30分に到着する予定だったが、午前2時40分頃に管制塔との連絡が途絶えた。この飛行機はベトナムのトーチュー島から約300kmのところに墜落した可能性もあるという。上記の航空機はボーイング777型機で、乗客227人と乗員12人が搭乗しており、乗客のうち中国人が154人、マ レーシア人が38人のほか、インドネシア、フランス、米国、オーストラリア、カナダ国籍の乗客もいた。
この事故に対してベトナムは最初から中国やマレーシア、フィリピンなどの関係国と連携して全力で捜索活動にあたっている。捜索に当たり、ベトナム海軍機は9日にベトナムのトーチュー島から約80キロのところで、行方不明機のものと思われる破片を発見したが、既に日が落ちていたために回収は不可能で写真だけを撮影し、翌日まで待って探すとしている。3日目の捜索に当たり、ベトナムはAN26型機2機、水上機1機(写真)とヘリコプター1機を使用するほか、他のヘリコプター2機も準備しているという。現時点で上記の飛行機の墜落の原因はまだ分かっておらず、捜索活動が続いている。(VnExpress、2014年3月8日/TBKTSG Online・VnExpress、3月10日)
現地の人の反応はどうか。世界が揺れる「マレーシア機不明」について聞いてみた。
「実は、中国がベトナムに捜索という名のもとで侵攻したいから とかいろんなうわさが飛び交っています。個人的にはハイジャックだと思います。テロが関係しているかもしれませんね。」(20代・セールス・女性)
「ベトナムに着陸したっていう噂もあるの? うそでしょう? だって、このあたりに大型機が着陸できる空港ってタンソンニャット空港(ホーチミン)しかないもん」(30代・女性)
「墜落したなら、誰かが目撃したり、何かしら証拠があるはず。それがないのに墜落と言える?」(30代・エンジニア・男性)
「マレーシア航空の事件? 知ってるよ。でも、僕は信じない。色々なメディアが好き勝手書いてるけど、この目で見たものしか、信じない。どれもこれも、推測記事ばかり。アホらしい。特に学がない人は、うわさを信じたりメディアをすぐに信じる傾向があると思う」(30代・ホテル業・男性)
このようにベトナム現地の声はさまざまだが概ね冷静な反応だった。マレーシア当局は23日、フランス政府から豪州沖に浮かぶ物体の衛星画像を提供されたと発表した。また、南インド洋でも、中国と豪州が物体の衛星画像をとらえていると報じられたが、いずれも確認作業は進んでいない。
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Written by クリス・フェラビー
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