中国では先頃、国家統計局が全国31の市や省、自治区が2013年のGDPを発表した。トップは広東省の6兆2164億元(約103兆5900億円)、2位は江蘇省の5兆9161億元、山東省の5兆4684億元が3位で、以下、最下位のチベット自治区807億元まで、合計は63兆元。全国のGDP56兆8845億元を6兆1000億元以上上回っていた。
いったいどういうことなのか。普通に考えれば、31の市や省、自治区のGDPの合計と、全国のGDPは一致しなければならない。それが一致しないのは、各市や省、自治区政府が水増しして申告しているからだ。しかもその差は6兆元以上、日本円にすると100兆円を超える。2014年度の日本の国家予算が約96兆円だから、水増しの規模がどれほどかわかるというものだ。
上記の各地方政府のGDPから割り出したGDP成長率も同じく、全国の成長率を上回っている。全国各市や省、自治区のほとんどは全国の成長率7.7%と同程度か、それを上回っている。最も成長著しいのは天津市と貴州省の12.5%で、12.3%の重慶市、12.1%の雲南省とチベット自治区がそれに続いている。平均が7.7%なのにそれ以上のところばかりで以下のところはない、なんていうことは計算上あり得ないことだ。
中国では、この手のデータの「水増し」は、昔から普通に行われてきた。昔も今も変わらない、「好成績を残したい」という各地方政府の願望が招いてきた現象だ。GDPの発表が始まった1985年以降、しばしば行われてきた。
こうした現象は、当然ながら中国でも問題視されている。国家統計局は、こうしたデータの食い違いはすでに「誤差」の範囲を超えており、正しい経済状況を把握するために、こうした悪癖の存在を認め、正すべきだと指摘している。2013年、中国の地方によってはすでに経済成長に陰りが見え始めていた。にもかかわらずすべての地方が、全国目標だった7.5%を上回る7.7%以上の成長を続けているというのだ。少なくとも数字の上では。
今年春の全国人民代表大会で、李克強首相は経済の先行き不安感が広がる中で、経済成長の目標値を7.5%で据え置いた。しかし、第1四半期のGDP成長率は、7.2%前後になると予想されており、現地の人たちが絶対に下がるはずはないと信じていた北京の近郊でも、不動産価格の下落傾向が見えてきた。
中国経済の先行きはいまや、世界中が注目するところとなり、そのデータは世界経済の今後を占ううえでも重要なデータとなっている。そんな中でこの先、この大事な時期に、GDPや経済成長率の「誤差」は小さくなっていくのか、あるいはより大きくなってしまうのか。そのこと自体も、今後の中国を占う要素の一つとなるかもしれない。
Written by 劉雲
Photo by Jonathan Kos-Read
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