寺の壁の前に家族から捨てられた患者
タイ中部ロッブリー県の寺ワット・プラバートナムプの壁の前に11月5日、AIDS患者が捨てられていました。
寺はこれを受けfacebookページに「患者を寺の壁前に捨てることは容易な手段かもしれない。しかし患者にとって良い結果となる選択肢ではない。AIDSは現在では全国にある最寄りの病院で治療を受ければ、患者は治療でき進行を止めることができる」と投稿しています。
寺の関係者の話によると患者が捨てられていたのは事実で、夜明け頃に警備員が発見しました。家族が深夜にマットレスと日用品とともに置いて行ったと見られます。寺では応急処置をしてベッドに移しました。
寺のfacebook投稿は3千件ほどシェアされ、コメント欄にも、
「寺に政府がもっと関心を持ってあげるべきだ。住職が可哀想」
「うわあ、今ではAIDSって癌ほどは恐ろしい病気ではなくなっているよ。なんでまた捨てるの、あなた」
「私のおじさんもAIDS。だけど家族は捨てようと考えたことはない。おじさんのほうが嫌がられるのを恐れて逃げようとした。でも今ではもう安らかに眠っている。おじさんが気持ち良くいけるように最期に私たち家族は精一杯世話をした」
「私は遺体を清めて喪主を務めるボランティアをしています。遺体を洗い服を着せることを嫌だと思ったことはありません。喪主がいなければお金を請求しませんし棺桶も移送費も無料でしています。今回も喜んで無料でお受けします」
などリアルなコメントが500件以上付いています。
実はこの寺、HIV感染者とAIDS患者を受け入れる寺として有名なのです。1992年から受け入れを始め、最悪時には1日に17遺体を火葬に付したほどでしたが、その後治療薬の急速な開発でAIDS患者が死亡しなくなりました。逆にそのことが寺の資金繰りを圧迫しています。
政府から補助金が支給されてはいますが全く足りず、残りは寄付で賄っている状況です。
通常の収容人数152人のところ160人を受け入れている寺としては、AIDS重症患者を喜んで受け入れるものの、患者の家族には患者の履歴書や身元証明書類を持参してルールに従って手続きをしてほしいと訴えています。
タイでは飼えなくなったペットの犬を寺に捨てることが習慣といえるほどに一般的となっています。今回のAIDS患者を捨てた行為もその延長線上だとは考えたくないですが、家族や社会から嫌がられ居場所のないAIDS患者を助ける場所があったほうが良いという住職の考えから患者を受け入れているこの寺があったのが救いではあります。
HIV感染者が約43万人存在し、新規感染者が毎年6~7千人出ているタイ。保健省は2036年までに新規感染者数を毎年千人以内に抑える目標を打ち出しています。ぜひ1日も早く達成させてワット・プラバートナムプの役割が軽減されることを願ってやみません。(取材・文◎赤熊賢)
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