伊調馨へのパワハラ疑惑で栄和人氏が言い放った言葉を聞いて「小学校教師にスカートをめくられた日々」がフラッシュバック
※写真はイメージです
女子レスリング五輪4連覇中の伊調馨選手が、日本レスリング協会の栄和人強化本部長からパワハラを受けたとする告発状が、内閣府の公益認定等委員会に提出されたことが、『週刊文春』で報じられたました。
栄氏は報道媒体の取材に対し、「協力したのになぜ」「ことを大きくしたい誰かがいるんでしょう」などパワハラを否定。同協会も報道に対し、「客観的事実と異なる報道がなされたことを非常に残念に思います」といった見解文書を発表しています。
平成も30年ともなりますと巷にはさまざまな"ハラ"が溢れていますから、どうもいろいろと混同しがちです。改めて"パワハラ"の定義を、厚生労働省のパワハラ対策についての総合情報サイト「あかるい職場応援団」で確認してみます。
花くまゆうさく先生のとてもゆるくポップなイラストと共に書かれている定義は、以下のようです。
<職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為>
ひらたくいうと、"立ち向かい難いいじめ"ということでしょうか。
さらに同サイトには「パワハラチェック」ができる設問がありますが、やってみるとこれが結構当てはまる! わたしがこれまで勤めていた複数の会社の状況に!
自分がされたこともあれば、人がされているのを見たことも含めると。
蹴られる。殴られる。物を投げられて当たる。他の同僚の前で無能扱いされる。終業間際に無理な量の仕事を押し付けられる。業務とは違う倉庫整理などを強要される。些細なミスを大声で叱られる。仕事を与えられない。挨拶を無視される。いきなり胸ぐらを掴まれる。毎日「ブス」「ハゲ」と呼ばれる。連日徹夜仕事を強要される。
......ほかにも、「プライベートをしつこく聞かれる」「机を漁られる」「大量の仕事を押し付けられる」「他社員との接触を禁じられる」系のパワハラもあるようですが、それには該当せず。わたしがされた・見た行為には一定の傾向が見られることがわかります。
さらにそこにセクハラがプラスされることもよくある話。
いきなり胸を掴まれる。会合場所をラブホテルに指定される。股間に硬くなったモノを押し付けられる。出会って5秒で合体を要求される。
これが許されるのは島耕作の世界だけ(?)で、たいていは自分を責めながら泣き寝入りするか、女友達に自虐混じりに愚痴るか、思いきってパートナーに打ち明けて望まない大騒動に発展し会社を辞めざるを得なくなるか、かと思います。
わたしのようにゴミをリサイクルするがごとく原稿料に代えさせてもらってうっしっしなのは本当にありがたいことです。あのときパワハラ・セクハラしてくれた方々、本当にありがとうございます☆
思えば、わたしがはじめてパワハラを受けたのは小学1年の頃。5匹のサンショウウオと暮らす当時30代のT先生は、それはもうエネルギッシュでした。
朝礼できょろきょろと周囲を見回していれば、「気持ち悪いからその目をやめろ」と出席名簿でスパコーンと頭をへこませ、乳歯がグラついているのを見るとわざわざ用務員室からペンチを借りてきて、引っこ抜いれくれたものです。
クラスには「特別席」という名の机が3つ設けられ、選抜されたメンバーは先天的に歩行障害があるYくんと、体が小さく給食が全部食べられないNちゃん、そしてトイレに行きたいという意志が示せずよく漏らしていた、わたし。
T先生の口癖は「私は差別はしない、区別をするのだ」で、よくYくんを体育の時間に走らせていました。そのつど、"いい子"たちが可愛らしい声で、
「がんばれぇ〜〜」
と声援を送ります。なんて美しい青春の一コマでしょうか。
Nちゃんが昼休み返上で給食を口に詰め込まれ、げぇぇと教室に吐瀉物をまき散らすのはいつもの光景。そこでも"いい子"が大活躍。雑巾を持ち駆け寄り、みなで協力して床を現状復帰。あゝ素晴らしきかな友情。
わたしが給食の味噌汁をこぼし床を濡らすと、"いい子"はすかさず、
「また春山さんが漏らしてます!」
と報告。ホウ・レン・ソウは大事ですから当然です。取り囲んでスカートをめくり、下着が濡れていないとわかると、
「お味噌汁かもしれません!」
と訂正報告。これも大事なことです。小学生ながら会社員さながらの優秀さに脱帽。
そう、これがわたしたち先鋭「特別席」部隊の仕事。T先生にとって理想的な"いい子"を作るには、わたしたちの存在は必要不可欠なのです。現にわたしたちは、クラスメイトにいじめられたことはありません。
ある日、"いい子"のMちゃんが、連日の忘れ物が原因で「特別席」に参入。
号泣し、足をつっぱり、どうしても「特別席」に行こうとしないMちゃんを、わたしたちはぼーっと見ていました。その日の理科の時間、いつもわたしたちが使っている割れ薄汚れた水槽を前に、Mちゃんは言いました。
「早く綺麗な水槽を使いたいよ。こんなのいやだよ」
そしてまた、しくしくと涙をこぼします。
そこへ現れたのは救世主(メシア)ことT先生。
「わかったか? 忘れ物をすると、こういう目に遭うんだからな? じゃあいつもの班に戻れ」
救いの手が差し伸べられたMちゃんは、顔を輝かせ元の班へと走ります。よかったね、よかったね、Mちゃんよかったね。泣くMちゃんを取り囲み教室に祝福の花が咲き誇ります。
わたしたちのおかげで、また一段と、教室がひとつになるではないですか。ああ絆。すごいよ絆すごいよ絆ああぁぁああぁああ!!! と、T先生が昇天していたかはわかりませんが、次第に"いい子"たちが次々と転校しても変わらず小学2年の最後までこの体制を貫いたT先生は、きっと言うに違いありません。
「クラスみんながいい子で仲良くなるよう教育したのに、なぜ」「わたしの教育方針を妬む誰かが教育委員会にいるんでしょう」
と。(経験・文◎春山有子)
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