「手コキで許してもらった」「キスをされ暴行された」 ここ数年で起こったタクシーの怖い話

2018年04月09日 わいせつ ストーカー タクシー 春山有子 菊池桃子 運転手

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 4月3日、タレントの菊池桃子さんの自宅に押し掛けるなどのストーカー行為をし、元タクシー運転手の男(56)が逮捕される事件が発生しました。

 男は昨年秋、菊池さんから配車システムで呼ばれ乗せると、マスク姿の彼女を菊池さんであると認識。以降、事務所あてに交際を求めるメールを送ったり、自宅に押しかけていたと言います。
 逮捕の報を受け、菊池さんは自身のブログにこんな恐怖を綴っています。

<最近になってタクシー会社を退職し、ますます行動が読めず危険な状況に発展し(中略)家族全員 恐怖で眠れない日が続き、不安な毎日を抱えてきた数ヶ月でした>

 これに、「わたしも、タクシー運転手には怖い思いをさせられたことがある」と話すのは、Aさん(30代女性)。

「最初は、『やたらと話好きな明るい人だな』という印象でした。わたしも運転手さんとの会話が嫌ではないタイプなので、20分ほど和気藹々と盛り上がっていると......」

 自宅付近に着き、「ここでいいです」と声をかけたときでした。

「停止したものの、なかなか料金の支払いメーターを切らないし、ドアを開けようとしないんです。 『あれ?』と思い、もう一度、『ここでお願いします』と言いました」

 すると運転手は後ろを振り返り、こう言いました。

「もう外は暗いから。危ないから家の前まで送っていくから」

Aさんの目をじっと見る運転手。さきほどのあたたかい空気が嘘のように、Aさんの背筋を凍らせました。

「あ、大丈夫で〜す。コンビニ寄っていくんで、そこの。家族と待ち合わせてるんですよ」

 あえて明るく、とっさに嘘をつきました。刺激しては、ダメだ――密室にこの男と2人きりであることを再確認したAさんの直感が、脳内警報を鳴らしたからです。

「じゃあ、メールアドレス教えて」
「あ、いいっすよ〜! あ、書くもの! レシートに書きたい! あ、お金払ってないじゃないっすか〜わたし!」

 不自然なほど明るく矢継ぎ早に支払いを促すと、運転手はようやくメーターを切り、Aさんは支払いを済ませてレシートに捨てアドを殴り書きました。

「あ〜! ちょうど来た! ほらお兄ちゃん、さっき話してた、うちの兄です」

 コンビニに入っていく見知らぬ通行人に手を振りながら満面の笑みで運転手に言うと、その勢いに気圧されたのか、ようやくドアが開いたところで、Aさんは解放されました。

「それからしばらくコンビニいましたが、タクシーもずっと止まっていました。台詞だけ聞くと単なるナンパと同じはずなのに、比じゃないほどの恐怖でしたね」

 タクシーは密室。誰でも幼少期、「知らない人の車に乗ってはいけないよ」と唱えられる掟をやすやす破っても利用できるのは、人に備わったまともな倫理観や職業的な信頼感があるからです。が、ときにそんな倫理観を平気で超えてくる人間もいるのです。

 さらに知人から聞いたBさん(20代女性)の話は、犯罪そのもの。
 なんと、目的地とはまったくかけ離れた峠まで走られた挙げ句、性交渉を持ちかけられたというのです。Bさんは「なんとか手コキで妥協してもらえた」と話したそうですが、死さえもよぎる体験です。


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 ここ数年でのタクシー運転手による強制わいせつ等事件を振り返ると。

◎2016年3月、車内で眠っていた女性客を、わいせつ行為をしようとし目的地とは違う山中に連れていった岡山県の男(44)が監禁や準強制わいせつで逮捕される。
◎2017年4月、女性が乗車すると運転席のシートを倒し、女性の脚を触りながら片手運転。その間、停車させて女性の足を数分舐め、「また乗ってくれたら料金サービスする」といい連絡先を渡した宮城県の男(30代)が、監禁と強制わいせつで逮捕される。
◎2016年6月、停車中の車内で後部座席の女性客にわいせつな行為をしようとしていたところを、警戒中の警察官が発見、大阪府の男(31)が現行犯逮捕される。のちに男のDNA型が、8年前と9年前に起きた強姦事件の遺留物と一致した。
◎2017年11月、「手相を見てあげる」など言い、女性客の手を掴み引き寄せ、キスや体を触るなどのわいせつ行為をしたとして、静岡県の男(53)が逮捕される。
◎2018年2月、酒に寄った女性客を乗せたままラブホテルに連れ込み、抵抗できない状態の女性に暴行したとして、京都府の男(44)が準強制性交の疑いで逮捕される。

 など、世の中はこうも獣ばかりなのかと思わずにはいられません。

 そういえば、わたし自身も脳内警報が鳴ったことがありました。深夜に仕事を終え、会社から少し歩いた場所からタクシーを拾い、自宅付近の地名、「日暮里まで」と告げたときのことでした。

「わ、わかりません。えっ......わかりません」

 青白い顔の、伊集院光を理系っぽくしたような運転手が、不安定な挙動で答えます。観光地でもある有名な地名・日暮里を、東京のタクシー運転手が知らないなんて、そんな、ばかな。不気味に思いつつも、疲れで思考が鈍っていました。

「じゃあ、言いますから。次の信号を曲がってください」
「......」

 運転手は該当箇所を、ビュン、と一段とスピードを上げて通り過ぎました。無言のまま、景色だけが流れ続けます。
 あ、殺されそう。

「ここでいいです! ここで止まってください!」
「......本当にいいんですか? ここまでですか? 日暮里じゃなくて大丈夫ですか......?」

 やはり不審な挙動のままでしたが、少ししてから停車し、降りることができました。
 街灯心もとない、古いビルが立ち並ぶだけの暗い道で降りてしまったことに少しだけ後悔しましたが、降りてよかった、と思いました。
 勘違いかもしれません。上京数時間後にタクシー運転手になったため本当に日暮里を知らなかったのかもしれません。青白く挙動不審だったのはうんこでも我慢していたからかもしれません。Bさんの話を聞いた直後だったためわたしが過敏すぎたのかもしれません。

 以前、アメリカのストーカー殺人鬼との面会経験を持つ、作家の平山夢明さんから聞いたことがあります。

「人には、第六感というのがあるでしょう。『前から歩いてくる男、なんかおかしい』と。頭の中で、なぜか、警報機が鳴り始める、と。その"ピン"と来た直感には、従ったほうがいい。本能に備わっているものだから」

 勘違いで終われば幸い。獣道、気を抜かずサバイブしてゆきたいものです。(取材・文◎春山有子)

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