歌舞伎町と言えば日本を代表する歓楽街である。それだけに、フツーではお目にかかれないこともてんこ盛りなのだが、7月4日に行われた"ツアー"もまた、ならではのものであった。
歌舞伎町コンシェルジュ委員会が主催した、主として歌舞伎町の主要観光・シティホテルスタッフ中心のツアーなのだが、その案内先が高級ソープ「D」の内覧、そして老舗ホストクラブ「A」や人気キャバクラ「R」の体験だったのだ。
ホテルスタッフのなかでも、いわゆる新人を対象にしているようで、歌舞伎町という街の多様性に対応し、それを接客に活かすことが目的だという。特に「D」については、ズバリ、性風俗を利用する外国人観光客への対応策である。
まさに時代は変わった、と言えよう。主催者は、「無条件に"安全"とはいいがたい歌舞伎町だからこそ」とFB上にて企画意図を述べているが、確かに様々な客層を相手にするホテルパーソンにとっても、歌舞伎町という街は掴みづらい場所なのかもしれない。そういった意味では、確かにユニークなツアーだろう。
さて、常に斬新な試みがなされている歌舞伎町とその住人たちであるが、この街の凄さはその上、あるいは時として斜め上を行くスピードの早さにある。例えば、外国人観光客にとっても街に群がる客引き、キャッチは悩ましいことで、歌舞伎町の街頭ではそれらへの注意(ほぼ100%ぼったくりである)を英語・中国語・韓国語の3ヵ国語で流している。また、アナウンスを聞くまでもなく、「reddit」などの日本旅行関連板を見ている観光客間では、「六本木と歌舞伎町には注意」「そのほとんどがアフリカ系」などと、ある程度正鵠を射た警戒情報を共有している。
しかし、である。
それでも最近、筆者が歌舞伎町で驚いたのは「白人」のキャッチがいたことだ。いや、もしかしたら日本の法律に疎いだけで、"呼び込み"から少し逸脱してしまっただけかもしれないが、それでも店はメインであるさくら通りに近い外国人キャバクラ風のものだった。
もし、確信犯としてキャッチを行っているなら、それは明らかに違法行為だし、それを容認している店の信頼度は著しく下がると言わざるを得ない。筆者が見たのが、もしそうだとしたら、我々も外国人キャッチはアフリカ系という定説を覆して、新たな情報をインプットしなければならないだろう。
実のところ、この「白人キャッチ」だけではない。かつては、悪質なぼったくりの多くは花道あたりまで......というのが定番だったが、それもいまは昔で、バッティングセンターのあたりでも若いキャッチが「ヘルスどうです?」と当たり前のように声をかけてくるようになった。
この遠因には暴対法の施行も関係していると思うのだが、なんにしても、目まぐるしく変わる歌舞伎町はある意味、ダイナミックさを失っていない、と言えるだろう。(取材・文◎鈴木光司)
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