秋の臨時国会が召集されたが、みんなの党の不安定さが目立っている。幹事長を解任された江田憲司氏の新党構想への動きなどが表立ってきて、すでに政党の体を成していないという党関係者もいる。
そのきっかけとなった、「みんなの党両院議員総会」の音声を入手した。テープを起こしてみたので、ご一読いただきたい。
※聞き取りにくい箇所や発言者の名前が不明な箇所があります。
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【みんなの党両院議員総会 2013年8月7日午後3時から】
【前回の記事】
生々しいカネの話で紛糾...みんなの党、分裂騒動の原因となった極秘テープを入手6
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水野)政党助成金は、幹事長。あれでしょう。公開されているわけでしょう。
江田)公開って事務的でしょう。
水野)いまこの瞬間はわからないけど、しかしそれは収支報告されているんだから。
江田)そんなことを言っているわけではない。収支報告の監査を言っているのではなく、どの政党もですね、この間、中西さんの案で審議した、自民党であれば何百万円以上あれば幹事長決済、民主党であれば50万円以上、維新であれば5万円以上、というふうに、決済手続きはどこでもやっている。
水野)幹事長の「何十万円」というのはわかる。しかし今言っているのは、解任されたら記者会見でこんなことを言ってやろうというのは違うと思う。
(争う声)
江田)申し訳ないけど、私がこのような形で一方的に解任される以上、私は説明責任を果たさないと政治家ではない。いま申し上げている。私も組織人だから、私の真意を申し上げている。おかしいと思うならどんどん言ってもらっていいが、私は公党たるみんなの党にガバナンスをきかせて、さらに一致団結して、次の総選挙にむかって政権を目指していきたいという思いでやってきたということは申し上げておきたい。
水野)真意ではなく脅迫としか聞こえない。
江田)脅迫ではない。国民に判断してもらう。
(水野らの争う声)
江口)あなた、ちょっと黙って。幹事長、そのくらいにして。意見でつくしましたね。
真山)私がみんなの党に入ったのはみんなの党というブランドで、代表の冒頭の挨拶にあったような結党のこういう日に、こんなことがあるのはちょっと残気がする。私自身もそうだが、有権者からは「どうなっているのか」と言われるが、それは渡辺代表と江田幹事長のブランドで信用してくれて支持してくれているというところがあるんじゃないかと思う。
人事について、企業に例える意見があるが、決定的に違うのは、私たちの歳費は社長からもらっているわけではなく、国民の税金だ。いわば一人ひとりが独立した存在。だから私たちが恩を返すのは有権者であり国民という気がする。だから私もそうだが、みんなの党ということで当選した人は、そういう意識を持っていると思う。みんなの党だから議員になれた。みんなの党が信用されているのは、渡辺代表と江田幹事長があってこそだと思う。
代表が人事を決めるものだが、非常に気になるのは国民と党の間でねじれがおきないかが心配だ。新しい人事について国民にどう説明すればいいのか。これは多数決ではない。私たちが代表を信任した限りは、代表が決めた以上はそれでやるべきだと思うし、4年たったみんなの党がここで顔を変えて、みんなの党が伸びればそれでいいが、私は不安が残る。ただ代表が決めた人事は尊重しないといけないし、みんなの党がこれ以上にアップしていかないといけない。みんなが認める形になればいいなと思う。
江口)いろいろ出ましたけど、出尽くしましたね。2度目(の発言)は控えて下さい。議論しても、24時間1週間やっても堂々めぐりだと思います。毎日こんなことをやっていたら、党ばかりやっていないで、我々は政治家ですからね。国家国民を考えなければいけないという使命があるわけですよ。そういうことからすると、議論を繰り返してもしかたない。ただ規約には「両院議員総会の承認を得る」というのがある。この方法をどうするかについて、意見をいただきたい。もうひとつ、代表選という話が佐藤さんから出てきた。これについて前回終わっていると私は思うわけで。代表選の議論は終わって、いまの代表でいこうということで拍手で承認したわけで。だからこれでまた代表選といいだすと、かえって大きな問題になり、ひょっとしたら党が四分五裂になる可能性も出てくる。そういう意味で代表選をやるというのも。
またここで挙手をするというのも、代表や幹事長を前にしてやりにくい。中にはひじだけ上げるという人も出てくるかもしれない。これは代表がいちおう方向を人事に出してきたということであるなら、いちおう...。
渡辺)私にも一言言わせて下さい。今日は率直な意見を聞かせていただき、有難う。いろいろ話したいことは山ほどあるが、時間が限られているので端的に。さきほど幹事長から政治資金について不正があったかのような発言が出た。例えば薬師寺道代に何千万円いっているのかという発言があった。私が不正をして...。
江田)不正とは言っていない。
渡辺)薬師寺道代にお金を送った。とんでもない話だ。
江田)不正とは言っていない。
渡辺)薬師寺道代はみんなの党の3公認として参院選に出て、また知事選までやっている。お金がかかる。
江田)もちろん。
渡辺)そういうお金を流すことが、あたかも不正であるような......。
江田)配分について透明であるべきと言っている。
渡辺)そんなことは断じてまかりならん。私は怒ります。
江田)わかっています。
渡辺)私が資金繰りのためにどれくらい苦労してきたか。言いたくないが、本当に大変だった。この間の参院選で候補者に配ったお金は政党交付金ではない。政党交付金は使い勝手が悪い。一般の政治資金として配る。でも残念ながら、寄付金はない。党費も少ない。借金するしかないんですよ。そうやって借金をして、政治資金をまかなっている。そういうことで、何も言わずに私は自分で責任を背負ってきた。
改革が遅れているかのような発言があった。しかし私は真剣に取り組んできた。こうした現実と向き合いながら。だから選挙が終わったとたん。改革プランが簡単に出てきたんじゃありませんか。今までずっと積み重ねて考えてきたから、改革プランがすぐ出てくる。今まで選挙が連続してあった。毎年あったんですよ。昨年の衆院選から今年の参院選まで、半年ですよ。その間に、金の工面をしなくてはいけなかった。候補者も擁立しなければいけなかった。そんな時に私を補佐する幹事長が、大変能力があり、立派に仕事をいてきたと思う。しかし一般論としていいますよ......。
江口)そこまで。おっしゃらない方がいいですよ。
渡辺)代表が苦労している時に......。
江口)やめたほうがいい。
渡辺)幹事長が別の方向を向いていたら、それは政党として成り立たない。
江口)もうやめてください。
渡辺)冒頭で言いました新しい党改革をすすめていく。新しい党内融和をすすめていく。そして新しい政権戦略、方向性を打ち出していく。そのための人事であると言った。私はこの人事に命をかけているんです。だからこの前、江田さんに命を預けたいと表明した。是非この場で人事案を承認してほしい。宜しくお願いします。
(「よし」の声。拍手)
江田)(私が)改革をなんとか阻止しているような言い方だ。逆ですよ。
江口)いやいや......。ここは私の権限で、議論は終わらせていただく。冒頭で代表から人事案があった、いろいろみなさん真摯な議論をしていただいた。いずれも非常に建設的な意見だったと思う。しかし我が党代表は渡辺さんだから、代表がこの人事をやりたいということなので、承認いただけないか。
(拍手)
江口)そこでひとつ、代表にお願いしたいが、江田幹事長の処遇。役職案から全く外れている。名簿にない。江田幹事長についてこれについては特別の配慮をお願いできないか。
?)しかし紙も配られてもいない。誰が何の役職か、憶えていますか、みなさん。ありえない。この国が危機な中で、党内がこんなに分裂している状態を見せていくなんていやだ。
水野)不承認なんて言うからだ。そういうことを言うから、国民にそう見えるんだ。
(言い争い)
江田)ものを言っちゃいけないの? この党はいつから北朝鮮になったの。
?)代表と幹事長が仲良くやってもらいたいと党員も地方議員もみなさんも全国の国民もそう思っている。党内だけで決めることが本当に私たち国民の...。
?)まとまってもらいたい。
江口)ちょっとさきほど申し上げたように、代表から提案があった役員人事について今回は承認します。江田さんの処遇について、格別のご配慮をいただけないか。
江田)会長、私の処遇については。私は改革の足を引っ張ったような「新しい改革を進めるために江田を切らなければ」という言い方をされている以上、申し訳ないが、1議員として筋を通させてもらう。私は何もやましいことはない。改革を政界再編に結び付けたこともない。
1所属議員として大義は私にある。脅迫やうんぬんではない。私も政治家だ。発言の自由はある。みなさんに申し上げた上で、当然記者になぜ解任されたのか、全く理解でいない。私の思うはしっかり述べさせてもらう。政治家としての私のプライドであり、責務だ。みなさんが決めるのはいい。しかし幹事長として何か解怠があったのか、改革についてはむしろ私が提案して前に進み始めた。その途上で首を切るなら切ってくれ。
私はこれだって無所属で十何年も生きてきた。みなさんからああだこうだと言われる筋合いはない。私は1所属議員としてこの会場を出たら私の思いを、なぜ改革に取り組んでいるのか、この党に何が足りないのか、しっかり説明責任を果たすので、そのことだけ申し上げる。
江口)それは江田幹事長が個人的にいろいろとお考えになって、1政治家として行動するということ。それについてうんぬんはない。ただ一応人事の承認ということで、結論を出したい。それで宜しいか。
(「異議なし」の声)
江口)2回目ですから、井坂さん、やめてください。
井坂)私は最初、承認できないと言ったが、それはどういう扱いか。
江口)それはひとつの意見の言い合いだから、認めるとか認めないとか言う人がいる。議論の場だから。両院議員総会の場ですから、それはいいんじゃないですか。
井坂)承認する人もしない人もいたんだから、おおむね承認ということですか。
江口)そういうことでしょうね。ただここで挙手とか、みなさんしたいですか。そんなことをして、かえって亀裂なりができるのではないですか。せっかくまとまろうとしているのですから、進んでいかざるを得ないのではないですか。
井坂)私の立場の......。
江口)井坂さんだけではなく、他にも江田幹事長がいなくてはという人もいる。そういう意見もということになれば、グループは分かれるしかない。だから、両院議員総会の全体として賛成も反対もあるでしょうけど、それが民主主義ですから。こういう方向でいいのではないかということになれば。
(混乱)
Written by 日刊ナックルズ編集部
Photo by DS80s
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