前回に続いて東京12区ネタで恐縮だが、どうも外から見るのと闘っている当事者とは「温度差」があるようだ。公明党の太田昭宏国交相と生活の党の青木愛氏は2009年から対決―これは合っている。青木陣営は反アベノミクスを主張し、公明批判はほどほど―これもあっている。次世代の党の田母神俊雄氏が目の敵にするのは太田陣営―これは間違いない。太田氏は大きくリードして静観―これがちょっと違うらしい。
実は公明党がとても気にしているのが、共産党公認の池内さおり氏らしい。32歳の池内氏は、髪を染めてメガネをかけ、表情がなんとも豊か。なんとなく関西のお笑いタレント系の風貌だ。
中身もすごい! 大学の時に共産党に入り、民青の東京都副委員長まで務めた。話す様子もはきはきしていて、演説するにも言葉につまりがちで幸薄そうな青木氏とは「格が違う」ように見える。要するに池内氏が「プッ、プッ」と息を吹いたら、青木氏が「いやん...」と倒れるようなイメージだ。
そんな池内氏は、09年と12年の衆院選にも出馬していたらしい。なのにこれまでノーマーク......。私としたことがなんたる不覚!
そもそも公明党と共産党は、社会的支持基盤が重なるライバル同志。今年2月に行われた都知事選で、各陣営が12区内の大票田の北区で獲得した票数を見ても、共産党系とされる宇都宮健児氏の得票数は2万9,224票で、1万6,605票を獲った田母神氏を上回る。
それにいま、共産党は絶好調。他の野党はイマイチなのに、ひとりだけ追い風に乗っている。
かつて共産主義は「宗教はアヘン」としたが、昨年の参院選では、比例区で出馬した小池晃氏が築地の波除神社でお祓いを受けている。現実路線をとっているのだ。
ただし依然として、共産党は大企業やアメリカ、そして自民党が大嫌い。これに最近、12月3日の報道ステーションの党首討論で大阪市の赤旗購読をめぐり志位和夫同党委員長に噛みついた橋下徹維新の党代表も加えられたはず。
「太田さんに続くのが、共産党の池内さんという女の人らしい。女性ゆえに票の出方が違うので、強敵だ」
公明党関係者はこう述べている。ということは、あんなに「公明党をぶっ潰す」と熱烈なラブコールをおくっている田母神氏は「単なる片思い」ということになる。
もっともこの「恋」は、むくわれたとしても辛そうだけど(笑)。
Written by 安積明子
【関連記事】
●【衆院選リポート】小沢一郎代表、ガールズ青木氏応援に駆け付けた現場
●【衆院選リポート】赤旗、創価学会...次世代の党が四面楚歌の苦境に
●【衆院選リポート】失速が噂される維新の党・江田憲司候補の集客力