キャバクラ嬢の高齢化が止まらない。熟女キャバクラの隆盛は地方から都心へ......まるで、中国共産党・毛沢東の農村で都市を包囲する戦略のように、日本中の歓楽街をなめ尽くす勢いだ。これは見方を変えれば、熟女たちの社会進出に他ならないワケで、いまだ森友問題で足を絡めとられて停滞している安倍政権の「働き方改革」よりも、はるかに先を行っていると言えよう。
もっとも、熟女たちが好き好んで(そういう人もいるだろうが)熟女キャバクラで働いているのかというと、実はそうでもない。働ける場所だから働いているのである。それは、彼女たちの勤務形態を見てみるとよくわかるだろう。
一般的に、通常の(?)キャバクラ......つまり二十歳前後のキャストが主流を占める店には、キャバクラオンリーという働き方をする女の子が少なくない。いわゆるプロのホステス(社交)だが、これが熟女キャバクラとなると、かなりの数が掛け持ちでも勤務となる。
これは特に地方において顕著で、特徴として都心の熟女が同じ水商売であるバーなどと掛け持ちしている場合が多いのに比べ、他業種との掛け持ちが目立つ。それも、まったくの畑違い、というより普通の中高年女性がパートで勤務するような業種が少なくないのだ。
例えていうならば、イオンやローソンで働いたその足で、彼女たちは歓楽街の熟女キャバクラへと向かうのである。理由のひとつとして、地方は雇用先が少ない現実があろう。しかし、それだけが理由ではなく、むしろ雇用者(熟女キャバクラ)側がフレキシブルに彼女たちの勤務体制に配慮していることがポイントだ。
熟女たちのなかには人妻もいれば、シングルマザーもいる。それだけに、働きたいとき、働きたいだけ(働けるだけ)働くという要望はひときわ強い。それに対して店側はまず、勤務時間を短く区切ってのキャステイングに柔軟に対応した。さらに、ここが通常のキャバクラとの最大の違いなのだが、同伴やアフター営業を彼女たちに強いないよう努力しているのである。実際、地方の熟女キャバクラでは同伴ノルマなしというのが、当然のコンセンサスとなっている店が少なくない。
人妻やシングルマザーはもちろん、他の仕事と兼業している独身熟女にしても、時間とプレッシャーがかかる同伴・アフターに気を使わなくて済むというのは、気軽に熟女キャバクラに勤務する為の大きな理由になり得るだろう。
この熟女キャバクラにおける「働き方改革」は、これまでの水商売=プロの女という概念をなくし、多くの中高年女性の雇用への道を開く、きっかけのひとつになるかもしれない。
また、当然だが男性も女性同様に高齢化しているわけで、熟女キャバクラは地方を中心にますます隆盛を迎えることが予想される。
やや大仰に言えば、野に放たれた熟女パワーが景気を浮揚させるのである。そう考えると、おためごかしで遅々として進まない「女性の社会進出」よりはよっぽど有用に思える。
安倍首相も麻生副総理も一度、この逞しい熟女たちを視察に来たらどうだろうか。いや、マジで。(取材・文◎鈴木光司)
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