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招致における賄賂疑惑、予算オーバー、五輪担当相の「失言」とその報じ方など、来年に迫った東京オリンピックには、なにかと暗く滅入る話題ばかりが目立つ。そんな風潮の歯止めとなるのか、あるいはさらなら混乱を呼ぶのか、東京都を管轄する警視庁は2月4日、ひとつの方針を発表した。その内容はこうだ。
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東京オリンピックのよりスムーズな開催を目指すため、暴力団排除活動を強化。具体的には、いままでは組員によるみかじめ料(用心棒代)に対し、要求した組員だけを処罰対象にしていたのだが、改正後は要求に応じた飲食店側も処罰される、というものだ。2月17日まで、パブリックコメント(意見公募手続)を実施、都議会提出を経て年内の施行を目指すという。
この動きをみて、さっそく素早い反応を見せたのは、東京都内で活動する華僑だ。これは中国専門サイト・レコードチャイナが報じたもので、2月16日、華字紙・日本新華僑報は、「東京の中国人経営者、『みかじめ料』の内幕を明かす」という記事を掲載。その実態を明かした上で、「経営者の権益保護がなければ、実現は難しい」等のコメントを紹介している。
良くも悪くもヤクザとのなれ合いが半ば「伝統」となっている従来の飲食店と違い、ニューカマーの中国人にしてみれば、ことさらみかじめ料に違和感を覚えていたであろうことは想像がつく。反面、彼らはヤクザがどのような存在かも知っており、「権益保護がなければ~」というのは、拒否した場合の身体的・営業的な保証・保険が必要である、ということなのだろう。
実は、このような心配は華僑だけはなく、多くの日本人経営者もホンネでは考えているはずだ。というのも、警視庁が考えたこの改正は、すでに福岡県警が2010年4月に行っており、特に北九州を本拠とする特定危険指定暴力団(この言い方はくどいと思う)・工藤会(会は旧字)を念頭に実施している。
しかし、周知の通り、改正後もみかじめ料禁止の完全実施ははかどってはいない。その理由には、日本人的な旧来の付き合いもあるだろうし、また華僑言うところの権益保護もあるのかもしれない。率直に言えば、警察が「お役所仕事」でやることに、当事者たちはイマイチ信を置いていないのだ。
また、別の面から見ればみかじめ料を支払うことで、街の平穏が保たれるなら......と、少なからぬ人が(渋々だろうと)納得してきた歴史もある。
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そのような実態を無視して、ただ東京オリンピックだからと法の改正のみを進めることに、拙速感があるのは否めない。考えようによっては、(警視庁の権益のため)これを機にさらなら暴力団摘発のポイントアップを......そうとれなくもないのだ。
いずれにしても、繁華街(歌舞伎町、銀座、六本木を想定)を中心にこの改正が行われる可能性は高い。実行度があるのか、否か。市民はしっかりと見守る必要があるだろう。(取材・文◎鈴木光司)
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