先日、日刊ナックルズにこんな記事がアップされた。
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この記事を読んで思い出したのだが、私が半ば道楽的にやっているニコニコの公式チャンネル「NDO( http://ch.nicovideo.jp/ndo)」の生放送の中で、とある有識者にQ2ダイヤル全盛期の裏話について語って頂いた事があったのだ。
その有識者とは、AV監督の松本和彦氏である。
このオッサン(失礼)はちょっと凄い。なんたってAV業界に入るキッカケが、「かの有名なブ○セラの帝王・辻幸雄氏と一緒に逮捕されたから」という訳のわからなさで、彼らのせいで今に至る児ポ法問題が本格化してしまったという説まであるくらいの要注意人物だ。
ちなみにこの松本氏、AV業界に入る前にはゲーム喫茶の雇われオーナーをやっていて、客の裏稼業の方に遠隔がバレて拳銃を突き付けられたとか、海賊版AVの販売者を突き止めて注意しに行ったら、これまた裏稼業の方々の車に横付けされて車内から拳銃で狙われたとか、その手の話題に事欠かない心温まる人生を送られている。
そして今もなお衰え知らずというか生粋のアレというか、メンズナウというサイトでS○X教団にガチ潜入といった危険極まりない動画コンテンツを公開している "死に急ぎ系の人間"なのだが、当然のごとくQ2ダイヤルに関する造詣も深い。
......っていうか、それで商売してたクチである。
今回はその松本氏との会話の中で、特に興味深かった点を文字起こししてお届けしようと思う。決して手抜きじゃないぞ。
―― 松本さんはアングラ系の、特に道具を悪用するタイプの話題に事欠きませんが、過去に職業として関わっていた "そっち系" のネタは何がありますか?
「スロットの体感器を○○(某AVメーカー)と作ってたとか、ゲーム喫茶時代に遠隔やってんのがヤーさんにバレて拳銃突き付けられたとか、そういう話かい?」
―― できればもう少しブレーキを踏みながら運転して頂けますでしょうか?
「でもウチらが作ってた体感器ってハイテクだったんだぜ? 自爆装置付きとかあんだから。万が一見付かって事務所に連れて行かれたら、ある特定の操作をすんの。足の指で。手だとモロバレだからさ。そうすっとプログラムが一瞬でクリア(フォーマット)されて、何に使う道具か解らなくなるんだよ」
―― あ、それちょっと興味ある。
「警察に捕まんじゃん? ゴトの疑いで。そうすると使ってた道具から何から全部調べられるんだけど、スロットの台とゴトの機械(体感器)に紐付けされちゃったらアウトなんだよ。これをこういう操作するとこの台がこういう挙動をしますね、って。逆に言うとさ、それさえ解らなければ意味不明の機械を店に持ち込んでた迷惑な客ってだけで済むんだよ」
―― その場合の罪状は? ゴトがモロバレした場合は窃盗でしょ?
「建造物侵入だけ。体感器である事がバレて、それ使って打ってる所を押さえられたら窃盗罪。10年以下の懲役・50万円以下の罰金。建造物侵入なら最悪でも3年以下の懲役・10万円以下の罰金で済む。10万なら吉宗でちょっと吹いたら取り返せるよな。BIG1回1万4000円だから」
――そういう問題じゃねえだろ。
「でもよ~、今でこそ違う商売してる連中でも、その当時はゴトの機械作ってたり、Q2ダイヤルやテレクラで荒稼ぎしてたんだから。みんな影でそういう事やって金を作ってた時代だったんだよ」
―― Q2って懐かしいですね。○秒で10円かかりますっていう。それが積み重なってとんでもない請求額になって大騒ぎな。
「そうそう。パーティライン(多人数会話)とかツーショット(男1vs女1)な。俺なんか始めたのがだいぶ早かったから、ツーショット規制がかかった時にひと稼ぎさせて貰ったよ」
―― そういえば90年代の頭頃に規制されましたよね。
「あれで新規の開設を受け付けて貰えなくなっちゃったんだよ。ところがさ、相手はNTTじゃん? オカミのやる事にはモヤモヤっとグレーゾーンがあるもんだからさ、規制が始まるより前に届け出を出していた分は受理してくれたんだ。俺らなんか当時はチャンネル開けば金になる時代だったから、山ほど申請してたのね? そしたらその分が丸々プラチナペーパーだよ」
―― 開設許可証みたいなのを売るの?
「そう。ツーショットチャンネル開けますよ~、許可証ありますよ~、1枚○○万円ですって。どんだけ値段付けてもこっちの言い値で売れるからさ、あれは稼げたね」
―― その時代にQ2やテレクラやってた連中って今は何をやってるんでしょうね? 出会い系とかIT詐欺系かな?
「人それぞれじゃん? そういう道に行ったヤツも多いだろうけどさ。さっきも言ったけど普通に会社持ってるヤツはAVメーカーだったり、あるヤツは漫画喫茶だったり。中には飲食やってるヤツもいるし。例えば○○とかさ」
―― あ~あの! レストランを名乗っておいてショボイ弁当が出て来る事で有名な!
「やめろよ! 特定されんだろ!」
―― 都内中をド派手な宣伝カーが走ってるあの!
「やめろっつてんだろ! バカじゃないのか!? 俺の責任になるじゃんよ! でもあれよ~、経営者が有名な人なんだけどさ~、どう考えても税金対策か何かのトンネルじゃねえかい? どう思う?」
―― 自分で墓穴掘るなよ!
◇
この松本氏、世界にBUKKAKEを広めた偉人として、アメリカやヨーロッパのそっち業界で未だに名前の通じる伝説の男である事を補足しておきます。
Written by 荒井禎雄
Photo by AF-Photography