シュールストレミング&アブサン
鼠やゴキブリなど数々の「変食」をこなしてきた僕だが、いまだトラウマとなっているものが二つある。
ウッカリ放置しすぎた「シュールストレミング」と「アブサン」だ。
世界一臭い缶詰シュールストレミングは塩漬けニシンを発酵させたもの。缶詰とはいえ加熱処理しないため、放っておけばどんどんニシンが溶けていき、地元スウェーデン人すら見向きしない代物になってしまう。
そうとも知らず、荒川でのBBQにて、とっくに賞味期限切れの缶を開けてしまった僕。とたんに紫色のガスが噴出し、一瞬にして蠅の大群が押し寄せ、あまりの異臭で河川敷は地獄絵図。
しかし自分で開けた手前、食べない訳にはいかない。ドロドロの液体をひと口なめてみると......
おや?
これは意外?
想像していたよりも、
遙かにクソまずい!
生ゴミにゲロをまぶして三百倍臭くした感じ、といえば伝わるだろうか。
なんとか口中の匂いを消そうと、手作りアブサンを流しこむ。通常はウォッカに2週間だけニガヨモギを漬けるのだが、これもウッカリ2年間も放置してしまったスペシャル版。精神を破壊する毒素ツーヨンが滲み出まくっている。
そんな2つの毒汁を気絶寸前まで胃に流し込み、もはや腐敗臭のゲップしか出なくなった僕。当然というか、自宅脇の植え込みに全て吐き出す羽目に。そして信じられないことに、ゲロがかかった植物は、翌朝、ボロボロに枯れてしまっていた......。
※ちゃんとしたのを食べれば2つとも良い食材です。多分。
見るからに臭そうな中身である......
のわっ! なんか変なガスが出た!
臭い缶詰をヤバいウォッカで流し込む...精神崩壊!
胎児マムシの活け作り
蛇の研究施設「薮塚スネークセンター」の食堂にて、マムシ料理を注文した。すぐに店の大将が生きたマムシをもって登場。
「危ない!」
思わず逃げようとすると、大将、
「大丈夫!俺だって咬まれたのは7回だけ! 入院したのは2回ね」
しっかり咬まれてるじゃん! マムシ毒で2回しか入院してないのが逆に凄いよ。
そんな大将、80度あるマムシ酒をくいくい飲みながら調理していく。マムシは卵胎生なので、腹に包丁を入れればエイリアンさながらの胎児が外へ逃亡。
「もう毒あるから気をつけて!」
てんやわんやの末に出された子マムシの活け作り。頭なしで皮を剥がれた子蛇が蠢く様は、まるでC級ホラー。醤油をかければビチビチと跳ね回る。
意を決して噛んでみると、コリコリしながらも弾力ある歯ごたえ。うん、けっこう美味しい! いくら噛み切っても口中を動く生命力。それを喰らっているのだから不味い訳がない。
「ひいい!」
そんな僕の後ろでは、何も知らない観光客が悲鳴をあげていた。
酔っ払いながらマムシを調理する大将
え〜〜っと、何の惨劇ですか!?
腹に包丁を入れると退治がウヨウヨ出てきた!
そりゃ〜ネギとあえるでしょうよ!
......意外と美味かったんだけどね
取材・文◎吉田悠軌