季節ものを食べるのが好きです。特に魚と野菜です。春は天ぷら、初夏は寿司の新子、秋は松茸の土瓶蒸し、冬はフグとウナギという具合です。
一年に一回、季節ものを食すのは大変幸せです。ということで冬のフグをコースを味わいに行きました。10年くらい通っている(といっても一年に一回ですが)、四谷のフグ料理屋です。この辺りは花街で芸者さんがまだいるとも聞きます。店構えも「料亭」とかではなく一軒家のような「ふぐ料理屋」という佇まいが気に入っています。
この日は昔から付き合いのある記者、ライター、テレビディレクターらと忘年会でした。
まずフグ刺しです。
初めてフグを食べる記者が「ポン酢の味しかしない」と言っていましたが、確かに一枚だとそういう感想になるでしょう。二枚か三枚でアサツキを巻いて食べる方が、歯ごたえが良くなるような気がします。
ひれ酒が出てきました。
日本酒が嫌いな僕でもヒレの香ばしさにヤラれて、つい飲んでしまいます。熱燗が身に染み渡ります。ちなみに何回も火をつけるのですが、失敗しました。
続いてフグの煮こごりです。フグはどう料理しても美味いですね。といつも感じます。ツルっと入ってしまいます。箸休めですかね。
で、お待ちかねの白子焼き。
これがないとフグ料理を食べた気がしません。熱々なのですが、我慢して食べる事。白子の少し焦げた香ばしさ。トロリとした白子の食感。醍醐味です。
鍋の前にフグの唐揚げです。
塩を軽く振るくらいでちょうど良い味です。非常に淡泊ですが微妙に旨味があります。骨の回りの肉が美味いです。
フグ鍋は昆布とフグだけで取った出汁で十分。フグの身を入れてから、豆腐、白菜を投入。刺身用のポン酢醤油をひとさじ垂らして食します。あっさりしていてそれがまた良いです。ここではフグの出汁が染みた野菜をひたすら食します。
最後は当然、フグ雑炊。
滋味にあふれています。これは何度食べても美味いです。僕はフグ料理の醍醐味は白子焼と雑炊にあると思っています。
冬の味、満喫しました。
文◎久田将義
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