渋谷といえば、一般的に「若者の街」というイメージがあると思います。日々、若者達でごった返す渋谷の街ですが、実は取り分け大人達が集まるエリアがあります。
道玄坂を上ったところにあるその区域は、「百軒店(ひゃっけんだな)」といわれており、ラブホテルに包囲されたそのエリアには風俗店やストリップ劇場などが立ち並ぶ、渋谷随一のディープなエリアとなっております。
渋谷の中でも少し怪しい雰囲気が漂っているため、避けて通るという人もいるかもしれません。
しかし、そんな大人の街、百軒店もかつては「若者の街」であり、1920年代に作られたこの街は、ジャズ喫茶やバー、映画館などの娯楽施設が集まり、渋谷の中心地として賑わいを見せていたそうです。
その後、花街として栄えた時代もあり、街を芸者さんが闊歩していた時代もあったとか。
今ではその役目を終え、当時の雰囲気を残しつつも現在のピンク街へと姿を変えていったそうです。
そんな歴史のあるしぶや百軒店で、今も変わらず続く老舗がいくつか存在します。
その中に『とりかつチキン』という定食屋があります。
「頭痛が痛い」的な名前のこのお店は、揚げ物専門店としてしぶや百軒店で40年以上も営業を続けてきた老舗定食屋です。
用がなければ絶対に立ち寄らないような路地裏にお店はひっそりと佇んでいるのですが、外に看板がでているので見つけられないことはないと思います。
主にカウンター席がメインで壁にお品書きが張られた店内には、どことなく昭和感がただよっており、老舗を感じることができます。
楽しそうにお喋りしながら元気におかあさん達がお店を切り盛りしています。
渋谷の母はここにもいたのです。
メニューは10種類以上ある品目から好きな物を組み合わせて注文します。
ライスとみそ汁もセットでお値段は、2品定食が650円、3品は800円、4品は1000円となっています。コストパフォーマンス高いです。
とにかく種類が豊富なのでどれを頼めばいいか迷うという人は「人気定食」(650円)というのもあるので安心です。私はいつも看板メニューである「とりかつ」を注文します。
注文をするときはお店の雰囲気も相まって、ついつい小粋に「おかあさん」なんて言ってしまいそうになります。老舗が成せる技なのでしょうか。
注文をすると直ぐに目の前で揚げてくれるので、しばらく店内にある漫画を読んだりテレビを眺めたりしながら出てくるのを待ちます。すいていれば7分ほどで出てきます。
そしてソースとからしを付けて食します。
衣のサクサク感と肉の柔らかさに感動です。
それでいて揚げ物なのに軽いです。
組み合わせを変えながら、何度も通いたくなるお店です。
普段、この辺りは立ち寄らないという方や、夜だけという方、是非、百軒店へヒルメシを食べに訪れてみてはいかがでしょうか。
文◎本田(Loft9 Shibuya)
【関連記事】
●映画『MOTHER FUCKER』のあの餃子 吉祥寺「一圓 本店」|ビバ★ヒルメシッ! 文◎フジワラ(LOFT 9 Shibuya/Naked Loft)
●リアルな"中国式ラーメン"を出すお店を偶然発見したので食す|ビバ★ヒルメシッ! 文◎木俣(Loft9 Shibuya)
●「牛丼」を食べようとして吉野家に行ったら、「肉あんかけチャーハン」のお店に変わっていた|ビバ★ヒルメシッ! 文◎石崎典夫(LOFT9 Shibuya)