ぼっかけ蕎麦って東京の人はあまり聞いた事はないかも知れませんが、関西ではメジャーですよね。本来は蕎麦ではなく「ぼっかけうどん」です。僕は大阪取材の際、地元の人に連れて行ってもらいました。もう十五年くらい前ですし、土地勘もないものですから詳しい場所は覚えていません。多分、環状線のどこかの駅でした。
前述したように本来はぼっかけ蕎麦ではなく、「ぼっかけうどん」が正式です。「ぼっかけ」は「ぶっかけ」が変化したものだそうです。何を「ぶっかける」のかというと牛スジとネギ。美味かったですね。硬い牛スジが柔らかく煮込んであって、うどんとぴったりマッチ。多分、「油かす」や「サイボシ」同様"路地"の食べ物だと推測します。
最近、ふと入った都内の某蕎麦屋。メニューを見ていると「ぼっかけうどん」があるではないですか。「東京なのに珍しいな」と懐かしく思い、頼もうとしました。すると「蕎麦もできます」と追記してあります。じゃ、蕎麦で食べてみよう。
出てまいりました。牛スジがたっぷりとネギ。そして柚子がひとかけら。スープは醤油味ですが、牛の出汁が出ています。蕎麦と合います。関西の方からはぼっかけはうどんだろ、とお叱りを受けそうですが結構いけますよ。
牛スジに取り掛かります。柔らかいです。一見、固そうな部位も全て柔らかい。ぼっかけの醍醐味です。それと油っこさが柚子の香で中和されます。付け合わせのネギが別皿に入れてあるので、少しずつ入れながらネギの歯ごたえと香を頼めるのも良いです。
少し、一味をパラり。そのまま蕎麦と牛スジを交互に食していきます。麺も牛スジもなくなってきたころに一味で活きてきます。ピリ辛の牛のスープが美味い。これは全部飲んでしまいそうですが、腹八分目を心がけているので途中で止めておきましょう。
ぼっかけ蕎麦。これはなかなかイケますよ。今度は関西でぼっかけうどんを食べてみたいですね。
文◎久田将義