『Top Yell』が休刊! アイドル雑誌を襲う2つの衰退理由とは?

2018年02月07日 

  • LINEで送る
  • ブックマークする
  • シェアする

topyell.jpg

Top Yell(トップエール) 2018年 03 月号


アイドル雑誌「Top Yell」が1日、2018年3月号をもって休刊することを発表しました。

竹書房の公式サイトでは「この約6年半、楽しいこともたくさんありましたが、辛いことも同じくらいたくさんありました。そのたび、取材に赴いたアイドルたちの前向きな姿勢や頑張る姿に励まされ、Top Yellも頑張ってこれたのだなと思っています」と振り返り、「Top Yellはこれで休刊、いや無期限活動停止となってしまいますが、アイドルを応援する心に変わりはありません。多くのアイドルたちの活躍をこれからも応援していこうと思います」とコメントしています。最後となる2018年3月号の表紙には「Top Yellは幸せでした」とコピーを掲載しています。

突然の発表に、Twitter上では「悲しすぎる」、「本当に残念」、「今までありがとう」、「良い雑誌だったのに」など、休刊を惜しむコメントが寄せられています。

「Top Yell」は2011年、「特冊新鮮組DX」を改題、全面リニューアルする形で創刊。AKB48一強の時代から、48グループだけでなく、ハロー!プロジェクトやスターダスト、iDOL Streetなどのアイドルの記事も多く掲載してきました。ライブレポートやインタビューがメインで、表紙には「ハロプロ革命前夜」、「やれたのか? 年末年始!」などの煽り文句が並びます。プロレス雑誌のような切り口でアイドルの魅力を掘り下げた雑誌でした。

「Top Yell」の休刊には、2つの要因が考えられるのではないでしょうか。

まずは、メジャーアイドルシーンの衰退です。昨年から今年に掛けて、メジャーアイドルの解散・脱退が相次いでいます。昨年、AKB48から渡辺麻友が卒業し、かつての「神7」が全員卒業。ハロー!プロジェクトを牽引していた℃-uteが解散し、嗣永桃子が引退。こぶしファクトリーから3人の離脱は大きな遺恨を残しました。ももいろクローバーZから有安杏果、私立恵比寿中学から廣田あいかと、スターダストのアイドルも卒業が相次いでいます。iDOL StreetからもGEMが解散し、他のグループもメンバーの入れ替えを検討と報じられました。

日経エンタテインメント! が毎年報じている各アーティストの「コンサート動員力ランキング」でも、ももいろクローバーZが63.6万人(2016年)から28.1万人(2017年)に大きく減退。AKB48も14.1万人(2016年)からランク外になりました。ただし、乃木坂46に関しては25.9万人(2016年)から46.7万人(2017年)とランクアップ。コンサートの動員に関しても、坂道グループ以外は以前ほどの元気がない印象があります。

2つ目の要因は、深刻な出版不況です。全国出版協会の発表によると2017年の紙市場は前年比6.9%減の1兆3701億円に落ち込み、中でも雑誌は10.8%減の6548億円と初の2ケタ減となりました。特に「Top Yell」は前述の通りライブレポートが多かったため、「音楽ナタリー」、「ORICON NEWS」、「BARKS」といったウェブメディアの記事に比べると、どうしても速報性に劣ります。TwitterなどのSNSで素早いレポートや的確な批評を無料で見つけることが出来るので、有料の雑誌には手を伸ばしづらくなるでしょう。

アイドルを多く扱ってきた雑誌「CDジャーナル」も、月刊誌から今年から年10回刊行と、どうやら雲行きが怪しいです。アイドル雑誌に未来はないのでしょうか。長年愛読してきた筆者としても、アイドル雑誌にどうにか一矢報いてほしいと願っています。


取材・文◎杏

  • LINEで送る
  • ブックマークする
  • シェアする

TABLO トップ > カルチャー > 『Top Yell』が休刊! アイドル雑誌を襲う2つの衰退理由とは?
ページトップへ
スマートフォン用ページを表示する