「母寿(ぼす)」外観
あまり雪の降ることがない大阪の中心部で、珍しく雪がぱらついた2月の寒い日。
夕方に仕事を終えて凍えながら自転車で帰る途中、寒さと孤独と空腹で朦朧とする意識の中「こんな時はあったかいうどんが食べたい...」と考えていたまさにその時、目の前に現れた"うどん"の3文字。
迷わず店の前に自転車を止めて入ったのは、南堀江にあるうどん屋さん「母寿(ぼす)」。
かじかんだ手で店の扉を開けると、おかみさんが満面の笑みで「いらっしゃい。寒かったでしょう。今暖房つけたばっかりやから奥の席があったかいよ」と優しく迎え入れてくれました。
一瞬、「もしかしてお母さん?」と錯覚するほどの母性溢れる接客と優しい笑顔に、30年間凍てついていた心と体が一瞬にして溶けていくのを感じました。
高知県出身のご夫婦がやっているお店のようで、メニューにはうどんの他にもカツオのたたきやウツボの天ぷらなど、土佐名物が並んでいます。
下段左端がとっても気になります...
その中でも気になった「キジ肉うどん」を注文。
生うどんのため茹でるのに少し時間がかかるらしく、その間に「焼酎うどん湯わり」とやらも注文。
注文してみました......素晴らしい色艶......
うどんを茹でている釜のお湯で焼酎をわるので、うどんの塩分でしょっぱいらしいのですが「今日はお昼が暇やって、あんまりうどん茹でてないからそんなにしょっぱくないかも...」と舌を出してはにかむお母さん。
お昼営業の忙しさと比例してしょっぱくなる「焼酎うどん湯わり」。お母さんが昼間流した汗の分だけしょっぱくなるんだなあと思うと、なんだか味わい深い。
そして人生初体験のキジ肉が乗ったうどん。
キジ肉うどん800円
キジ肉はさっぱりして弾力があり若い男の筋肉といった感じで、うどんは太すぎず細すぎず食感はまるで赤ちゃんの耳たぶ。
ずっと口の中でクニュクニュしていたい。。
キジ肉のダシがきいたおつゆもとっても美味しい......とにかく文句なしに美味しいうどんです。
そしてそれをさらに美味しくしてくれるのが、常に穏やかな笑顔で優しく話しかけてくれるきれいであったかいおかみさん。
母に寿で「ぼす」と読む店名にもなんだかよく分かんないけど納得。
こんなお母さんだったら、毎年ちゃんと実家にも帰るし、ちゃんとした仕事にも就くし、変な男に引っかからずにまっとうな人生を送れたんじゃないかと、もう一つの幸せな人生に思いを馳せながら食べる一杯のうどん。
そんな夢見心地で、心も体もあったまるうどん屋さんでした。
文◎ウエストくん(Loft PlusOne West)
ウエストくんプロフィール
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