【図1・図2】
国税庁課税部酒税課「酒のしおり(平成29年3月)」のデータをもとに、筆者がグラフ化しています。
【図3】
厚生労働省「国民健康・栄養調査」の各年次データから「週に3日以上飲酒していて、飲酒日1日当たり1合以上のお酒を飲んでいる人」の割合を抜粋して筆者がグラフを作成。2016年の割合は全国補正値となります
新年度を間近に控え、送別会や歓迎会などで酒席への誘いが多くなる季節になりました。そこで今回は「お酒」についてのデータに目を向けてみましょう。
まず、図1は平成29年3月に発表された国税庁「酒のしおり」という調査にある「酒類販売(消費)数量の推移」になります。酒類の販売(消費)は平成6~8年をピークに、現在まで大きな減少傾向を見せています。
また、同調査には「成人1人当たりの酒類消費数量」(図2)も掲載されていて、こちらも年々大幅に減少。平成27年は8.16Lで、ピークとなる平成4年の101.8Lから約20Lも少なくなっていることが分かります。当時はバブルがはじけて先行きの見えない社会状況でしたから、お酒で憂さを晴らす人が多かったのかもしれません。しかし、それにしても、昔に比べて最近はお酒を飲まない人が増えているのです。
さらに、図3は厚生労働省「国民健康・栄養調査」の「飲酒習慣の状況(年齢別・性別)」について、2009年と2016年を比較した表となります。ここでの「飲酒習慣」とは「週に3日以上飲酒していて、飲酒日1日当たり1合以上のお酒を飲んでいる人」のこと。また、割合は年齢階級の総数比率で、例えば「20~29歳で10%の場合は、20~29歳全体の中で10%」です。
これを見ると、男性は全ての年代で飲酒習慣が下がっているのですが、40~49歳の減少率が高くなっています。また、20~29歳の飲酒習慣率は2009年も2016年も10%台前半と低く、ほかの年代に比べてあまりお酒を飲まない傾向です。
よく「上司からのお酒の誘いを、若い部下を倦厭する」という話を聞きますが、40代の習慣率が低下している一因になっていそうで、哀愁を感じさせますね。
逆に女性の飲酒習慣率は増加している世代と減少している世代で分かれているのが特徴で、40歳以降の年配層では飲酒習慣率が増加傾向にあります。昨今、某政権の影響で女性の社会進出が何かと話題になりますが、「お酒」については女性のバイタリティを感じさせてくれました。
ただ、お酒を飲まなくなった夫が早く帰ってくるようになり、その憂さ晴らしで酒量が増えたなんて可能性もありそうですが...。(文◎百園雷太)
【関連記事】
●厚労省発表「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」から見える『泣き寝入りしている人々』
●「家賃を払うなら、家を買ったほうが得」にちょっと待った! その知識、本当なの? 地震大国ニッポン
●安倍総理! 年収200万円以下の人は常に1000万人以上、これを無視して「もっと働け」と?