話題の新書「タモリ論」(新潮新書)は目下、書店の平台を独占するベストセラー。あるデータによれば発行部数は15万部に接近する快進撃をしている。
著者の樋口毅宏氏は09年「さらば雑司が谷」(新潮社)でデビューしたパンク文学の俊英で、11年に上梓した「民宿雪国」(祥伝社)が第24回山本周五郎賞候補になる実力の持ち主だ。
その樋口氏、プロフィールにはエロ系出版社コアマガジンでアイドルお宝雑誌「BUBKA(ブブカ)」の編集をしていたとある。しかし彼には表に出したくない、それ以前の隠された経歴がある。
彼はコアマガジンの出版物でもとくに鬼畜度が高く、さる4月には警視庁にわいせつ物として摘発され、廃刊に追込まれた投稿写真誌「ニャン2倶楽部」の編集者だったのだ。同誌は読者が投稿するハメ撮り写真をギリギリ小さな修正で掲載する成年雑誌の中で最もハードな類い。しかも女性読者を起用した乱交写真の撮影に編集者が参加してハメまくる実にうらやましい(?)企画が売り物だ。樋口氏も乱交撮影に積極的に参加する肉食系編集者として有名で、その経験は「タモリ論」や「日本のセックス」(双葉社)にも描かれている。しかし氏が編集人として初めて作ったハメ撮り雑誌のことはこれまで語られていない。本サイトはその樋口氏の初編集雑誌を独占入手した。
モデル風美女を起用した「LOVE STYLE」なる99年12月発行の雑誌。しかしこの雑誌、オシャレな表紙とは裏腹に表紙をめくるとエゲツないハメ撮りのオンパレード。若い女性の投稿写真を中心にセレクトし、表紙のコピーにあるように目線なしのハメ撮りも掲載するサービスぶりだ。
奥付の編集人名には「非口たけひろ」。さすがに本名は恥ずかしかったのだろうか。同誌はあまりにオシャレな体裁のため鬼畜読者を刺激できず、わずか1号しか発行されなかった樋口氏の青春の蹉跌。しかし注目すべき記事もある。
写真は巻頭ハメ撮りグラビアのもっともおとなしいカット。男性の顔をを隠し読者投稿を装っているが、おそらく樋口氏自身が撮影した、自身のお楽しみ撮影だろう。サイトの性質上ハードな写真はお見せできないのが残念だが、高級ラブホテルであんなことやそんなことまでタップリ楽しんだ様子が記録され、イケメンと評判の高い樋口氏の女性ファンにはたまらないお宝企画である。
また樋口ファン垂涎の企画として、1ページを小さな活字でびっしり埋めた、氏の"幻のデビュー作"といえそうな私小説風エッセイ「好きなだけ恋の夢を見て」がある。読者参加の乱交撮影に赴く樋口氏の感情と性欲の膨らみが微細に描写された「日本のセックス」のプロトタイプ的掌篇、その一節を引用しよう。
「すぐ素っ裸になり、肉塊の群れに飛び込んだ。読者たちに『これがプロだ』とばかり見せつけようと、僕は言葉責めをしながら、彼女に様々な行為をさせた。読者の一人が『でけえ~』とたじろいだ。こんなのまだ半分だよと得意になり、僕は尻穴を彼女の唇に突き出した」
こんな若さみなぎる文章が5000字あまり続く。樋口毅宏コレクターならネットオークションで高額落札しても惜しくない、価値ある一書であろう。
ちなみに「ニャン2」時代の同僚によれば「乱交撮影の現場で『僕の、大きいでしょ』と見せびらかすのが彼のお約束」とのこと。その自尊こそベストセラー「タモリ論」を生んだ原動力なのか。ならば次回作は「巨根論」のタイトルでミリオンセラーを狙っては?と、余計なお世話ながら樋口氏に提案しておこう。
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Written by 宮酒たかし
Photo by タモリ論/新潮社・ニャン2倶楽部/コアマガジン・LOVE STYLE・好きなだけ恋の夢を見て