元ジャニーズ・平本淳也が見た"SMAP解散騒動"の決着点とは?

2016年01月18日 SMAP解散騒動 ジャニーズ 平本淳也

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「SMAPを連れて辞めろ!」と言い放ったのは企業のトップであるメリーさんだった。言われた部下の飯島さんにしてみれば「はい、ではそのように」と命令に忠義を尽くしたかのごとく行動を取ったところ、「おまえ、なにやってんだ! 勝手なことばかりしやがって!!」と、素直にいう事を訊いて怒られているみたいな......。なんとなく良くある話にも聞こえてくる上司と部下のようだ。

 飯島さんは去年の1月に起きた事件から数カ月を経て「辞める準備」をしていた。辞めるとは言っても「SMAPを連れて辞める」のだから事は簡単ではなく、相当の時間と労力を割いて準備していたはずだ。そしてようやくまとまりつつあった"独立"が一瞬にして吹き飛ばされてしまったわけだ。

■好きならとことん...の半面、去る者は追わずの精神

 しつこいようだが「SMAPを連れて辞めろ!」と迫っていたのはメリーさんで、それに従おうとした飯島さんは素直な女性でしかない。また、メリーさんによる「SMAP不要論」に対するメンバーたちも「いらないなら出ていこう」「辞めろと言うのなら辞めますよ」という反感もあっただろう。

 こんな流れからSMAP側もジャニーズ側も"独立"に向かっていたが、道義としてケジメを必要する木村拓哉のもっともらしい意見が出たようだ。飯島さんやメディアを通じて知った事実を、メリーさんやジャニー喜多川さんへ直接確認するべきだというものだ。本人に確認なくして勝手には行動できないし、このまま突っ走ってしまうのもどうかということで、SMAPは会社側と話し合いの場を持ったと聞いている。そこで聞かされた「飯島さんは解雇」という冷酷な処遇にメンバーらはひどく落胆し、現在のような状況と繋がっていく。

 ただし、SMAPメンバーらの処遇は決まっていなかった。「飯島さんが辞めるなら僕らも辞めます」という子供じみた要望など受け入れられるわけがない。しかし、SMAP離脱希望の4人が「もう決めました」と通達したことで両者の感情的なしこりで生まれ、「それなら勝手にしろ!」というなってしまった。当人たちの思いは何より「もうジャニーズ(メリーさんの下)では無理」といった判断だった。

 ジャニーズ事務所内外には、SMAPに関する契約書類だけでも膨大とあり、それがグループ全体と個人に分けられ、締結先は一般企業から官公庁まで複雑にまたがっている。そのあたりの事情は飯島さんという裏方スタッフが会社を辞めるのとは全く異なるわけで、それを理解しない4人への怒りは相当なものだったろう。

 僕が知っているジャニーさん&メリーさんは昔から愛憎深く、「好きならとことん」という性格的な特徴があった。ジャニーズジュニアでも気に入られればどこまでも大事にされる。特別待遇、えこひいき、見ていて羨ましくなるほどの愛情を受けることができた。しかし、その一方で「去る者は追わず」の典型的な人物だった。自分に背中を見せる相手にはいっさい興味がないのだ。それまでどんなにレッスン場で気に入られようとも、周囲から「オキニ(お気に入り)」だと言われているジャニーズジュニアだろうと、一度でも反旗を翻したら最後、"嫌いになったら記憶から消去"とばかりに完全にその存在は無かったものとして扱われる。このジャニーズの「去る者は追わず」の精神は、相手がSMAPだとしても例外ではなかったことが今回証明されてしまった格好だ。

■SMAPを追い詰めたのも最後に救うのもジャニーズだけ

 SMAPメンバーの4人は一度、辞めるという意思を見せてしまったのだから、ジャニーズ事務所(メリーさん)とし ては"無条件で平和的なサヨナラ"は絶対にあり得ない。「飯島さんとの同調・同行」においては阻止する。つまり「飯島さんが独立してSMAPを主とした事業を起こす」ことを容認するわけがない。

 芸能界のトップ企業で人気アイドル担当を30年以上務めた元取締役の力は決して小さなものではない。ジャニーズとしてはこの力を封じておきたいのはもちろん、会社や個人においても面倒な存在でしかない。であれば「芸能界からの引退」を条件に退社を認め、飯島さんには相応の「納得材料と条件」も用意するだろう。これがSMAPにとって最悪の状況である。

「飯島さんと一緒にやっていく」はずが、その当人がいなくなってしまうのだ。かといって啖呵を切った姿勢でジャニーズに背を向けた4人にジャニーさん&メリーさんが「よしよし」と応じることは考えにくい。これまで何度も繰り返されてきた「ユーたち、辞めたいって言ったじゃん」「もう知らないよ」というジャニーさんの口調が想像に難くない。

 そう考えると今回のSMAPの行動はやはり早計であり、大きな勇み足だった感は否めない。とくに中居の気持ちからすれば、メリーさんの言葉や態度には腹も立つし許せないだろう、また飯島さんにおいても可哀想だし自分が力になってあげたいと思うのも理解はできるが、思い通りにはならないのが人生であり、また特殊な芸能界ではより厳しい窮地に追いやられるのもある程度は予見もできたはずだ。

 しかし、その窮地から救えるのもジャニーズしかないのだろうと僕は思う。かつてジャニーズ事務所は「ファミリー」であった。ジャニーさん父、メリーさん母、そしてジュニアたちはその名の通り子供たちという構図だった。SMAPはジャニーさん&メリーさんと一緒にドライブしたり、映画を観に行ったり、家族のような仲で過ごした最後の世代でもある。あの頃を思い出すと、もう一度「ファミリー」として結束し、事態を解決してもらえたらと祈るばかりだ。

Written by 平本淳也

Photo by [D]izkography

Profile●ジャニーズ出身の実業家、作家、投資家。10歳でジャニーズ事務所から芸能界入り、30歳過ぎまでアイ ドルを続け、現在もテレビや雑誌で活躍を続けるなか、月間100万アクセスを獲るカリスマブロガーとしても知られる。22歳のときに物書きデビューして以来、34冊の書籍を発表。

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