松本潤や手越祐也に小山慶一郎らSMAPなき後を牽引していく立場の人気者たちの周囲を取り巻く人間関係や悪環境がスキャンダルとして取り出される中、いつかこうなると囁かれていた元KAT-TUN田中聖の逮捕の速報。多くの人が「やっぱり」と頷くが、しかし一方では、あの見てくれと違って真面目なところもあり、ジャニーズを追われた後も環境は充実していたようにも感じていたので、「まさか」と信じて疑わない声も少なくない。
田中聖と言えば素行不良で社会的かつ事務所的にもルール違反が度重なってmジャニーズから契約解除をされた唯一の個人としてもその名を史上に残したが、ジャニーズ輩出のタレントが薬物取締法違反で逮捕されたのは5人目という歴史にも刻まれることとなった。
ジャニーズの成長期を大きな役割で担ったフォーリーブス(78年解散)の北公次は解散翌年の79年に、同じくフォーリーブスのメンバーで子役から人気者だった江木敏夫は99年に、ジャニーズを天下に導いた偉大なる光GENJIの赤坂晃は2007年、光GENJIと共に一役を担った男闘呼組のリーダー成田昭二は2009年にそれでも薬物系の違反で逮捕されている。
ちなみに北公次の「次」という字を引き継いだのが成田昭二(本名)で、このときの芸名は成田昭次だったが、ダークな部分も引き継いでしまったようだ。名付け親はもちろんジャニーさんで当時はかなりお気に入りだった。
薬物系でジャニーズに所属している現役時に逮捕されたのは赤坂晃だけとなるが、ジャニーズとしてもこの時ばかりは相当に焦ったらしい。出ていった後は無関係なのでコメントすら出さない姿勢は今も変わらないが、今となっては天下のSMAPでさえ2名の逮捕者がいて、道交法違反程度なら数えきれないほど在籍しているのがジャニーズ事務所である。そうして免疫が高じて慣れてしまったのか、手越のスキャンダルについても大して動じてないが、世論はそれを許さない空気が強まっているのは無視できるのか。
SMAP解散の一件から敵を多く作ってしまい、本来は絶対信者である筈のファンからも恨みを買う立場であろうと「恐るるに足らず」といった様子の担当広報も少々疲れてきているようで、マスコミ対応と対策がまったく作動してないのがよくわかる。ジャニーズの大物で名物だった広報部長が昨年に会社を去っているのも影響している。
かつてはキラキラ王子様のアイドル帝国ジャニーズのタレントたちは、トイレもいかない想像の人物であるかのごとく美化されてきたが、スーパーアイドルの輩出と同時にいつのまにか犯罪者の数も積み重なってきてしまっている。ここ数ヶ月でも各所属タレントに女性関係から凶悪犯らとの親交が表沙汰になるなど細かなニュースも尽きないが、田中聖の逮捕によって個人的に心配なのが実弟の樹(じゅり)の立場だ。
兄貴がKAT-TUNとジャニーズを去った後でも現役のジャニーズJr.として活動を続け、現在はジャニーズJr.内ユニット「SixTONES」のメンバーとしてデビューを目指す立場だが、ただでさえCDデビューそのものに消極的な今のジャニーズ事務所において、家族に逮捕者が出てしまったとなればその様相は大きく変わることに違いない。デビューどころかジャニーズJr.として、あるいはタレントとしても相当キツイ状況に追いやられてしまう。
ジャニーズに関するニュースは尽きることがなく、ネタやコメントの発信は日々あるのだが、親交がある田中4兄弟にまさかの事件が勃発して僕は相当にガックリときた。ジャニーズの先輩として、できることなら可愛い後輩を擁護してやりたいところだが、薬物事件に限っては難しい状況だ。
文:平本淳也(元ジャニーズの作家・実業家)
写真:Gitte Herden
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