有名人の犯罪立件は、特別なようで間違いなく確実に逮捕から起訴に持ち込めるよう細心の注意と慎重さをもって、数カ月から数年にかけて捜査を行われる。今回の清原和博容疑者も同じく1年以上を費やして今回の逮捕に至ったわけだが、週刊誌などの記事からでも「自分が疑われている」のは重々承知していたはず。それを止められなかったのは逮捕も覚悟のうえだっただろう。
■薬物事犯の「タレ込み」はどのようして行われる?
ASKAも同様に疑われている期間を長くして逮捕に至っているが、酒井法子(夫の高相祐一も)にしても、元光GENJIの赤坂晃にしても同じで、警察の「内偵」には長い時間が使われていた。もちろん彼らは、「自分たちが疑われている」のはわかっていた。特に清原容疑者とASKAは幾度とマスコミのネタになっていて周囲も承知のうえだったが、それでも薬物の使用を止められなかった。
基本的に違法薬物系はみな「タレ込み」(情報提供)から動くことが普通だ。家族や周囲の人間からの相談や通報が主たる情報源になっている。捜査は所持から使用も含めて入手先まで広い範囲にわたって行われるが、僕にもときおり刑事さんから「情報があったら教えてもらいたい」という相談がくる。警察関係者は僕のような人間にもネットワークを張り巡らせているのだ。
警察関係者からの相談で多いのは、「他に誰かいませんか」というものだ。詳しく知っていたら教えることもあるが、僕は捜査をしているわけではないので確証が取れていない。それでも協力を求められるのだが、そういった相談のなかで常に出てくる有名人の名前がある。それは誰でも知っているレベルの人気者だが、芸能人側からも警察側からもその有名芸能人の名前が出てくるのだ。
もちろん、その人物については確証がないので、本名を含めてネタにも原稿にもしていないが、聞いたところによると、本人には任意の事情聴取がされたようだった。掘り起こせばいくらでも出てくるネタを相手にしないといけない警察も大変である。
僕が知り得るレベルなら、関係周囲はもっと深刻に捉えているだろう。親が子供の非行を止めようとして警察に助けを求める事情も多々あるが、それと同じで配偶者や恋人といったパートナーから「やめさせたい」思いの一心でタレ込む気持ちは理解できるものだ。
清原容疑者の連行される表情を見る限り、その落ち着いた様子から「これで終わった」「止められる」と安堵したようにも見えた。自らを制することができなかった後悔の念と「これで良かった」とほっとしたようにも感じられた。
語弊を恐れずに言えば、清原容疑者は悪人ではなくまた不良でもない。「優勝」を目前とした場面で大泣きするスポーツ男子だった清原は実に純粋な男だと思う。野球選手として彼ほどの記録と記憶をもって人気を得てきた人物は希である。高校時代から現在まで、常に社会の注目を浴びてきた彼には同情の声も多く届くだろう。一ファンとして、球界のスーパースターの不運と不遇が悔やみきれない。
Written by 平本淳也
Photo by Thomas Leuthard
【関連記事】
●『SMAP×SMAP』公開謝罪の余波...元ジャニーズ平本淳也が指摘する不安だらけの今後
●清原和博容疑者を逮捕..."山口組分裂"で後回しにされていた捜査