テレビが面白くない、といわれて久しいが、テレビをくだらなくしているのは「カルテル化」だといわれている。局側が資本関係のある制作会社(子会社や関連会社など。局員の出向先でもある)にしか完パケ納品を認めなくなっているのだ。テレビ制作会社のプロデューサーが内情を語る。
「カルテル化した理由は、第一にコンテンツを自社に蓄積させるためなんです。今やテレビ局はメディアとしてハード力に強みはないですから。となると強化すべきはコンテンツ力になる。そこにまったく第三者の制作会社が入ると契約がややこしくなるので、制作能力も含め、コンテンツの外部流出を防ぐためにカルテル化した。局としてもコストカットもしやすいですからね」
この一連の動きで名だたる制作会社は軒並み瀕死になったという。業界内では食えなくなり自殺する人も出たとも言われている。この結果、何が起きたかというと、番組制作会社がただの人夫出しに成り下がったのだ。テレビ制作会社の各社HPみてみればわかるが、制作会社は今や人材派遣会社と同じ。ADを派遣するだけの器となっている。
かつて、テレ朝の人気番組『シルシルミシル』でAD堀くんという人気キャラクターが生まれた。彼は本物の制作会社ADとして、この番組に携わっていたのだが、その朴訥としたキャラクターがウケて、レギュラーコーナーが誕生。司会のくりぃむしちゅーよりも人気になり、ついには彼の単行本や、ストラップ、アプリなど堀くんグッズまでも販売されるように。ちなみに、この収益は全部テレ朝が持っていった。これも、カルテル化の一貫だ。
「そんな人気者だった堀くんの今は不明です(笑)。というのも、堀くんが所属していた『MNW』という制作会社が開店休業状態になっているからなんです。『MNW』は3年ほど前に分裂し、そこから、AD派遣の専門会社が誕生した。これが要は人夫出しの会社。堀くんがまだテレビ業界にいるなら、おそらくここに所属して、日々派遣ADとして番組ごとに派遣されているんでしょうね」(前出の制作会社プロデューサー)
ADはあくまでも番組単位で派遣されるので、その番組が終わったら派遣元に戻るだけの不安定な立場だ。次のオファーがくれば再び現場に赴くわけだが、いつまでもD、つまり番組制作に携わるディレクターにはなれない。使い捨ての派遣労働者として、使いっ走りのまま、いつまでも業界に酷使されているのが現状だ。
「制作会社が堂々と番組を作ってたときは、仕事はきつくても見込がある人間は3~4年も下積みすれば、制作会社の裁量でADからDに引き上げることができたんです。それが今や局の社員ADでもない限り、ディレクターにすら一生なれません」(前出の制作会社プロデューサー)
テレビ業界を襲う未曽有の大恐慌。そこに生まれたのは搾取の構造だ。いま、テレビ業界はスポイルされるだけの場になっている。テレビ番組が総じてつまらなくなったのは、優秀な人材の流動性がなくなったのも一因だろう。
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Written by 阿蘭澄史
Photo by とってもおいしいです
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