メディアの人間がもっとも注意するのが新宿・歌舞伎町でのロケだ。撮影許可はまず下りず、下りたところで様々なトラブルに巻き込まれてしまう。だからといって、「歌舞伎町」はニュースバリューも大きいだけにこの街を完全に外すことはできない。そんな事情から、多くのトラブルを抱えることになる。あるテレビ番組の制作関係者が証言する。
「歌舞伎町でロケする際は必ず、ある裏社会の組織に話を通します。無断で撮影したことがバレると、後から3000万円とかとんでもない金額を請求されることもあるので、はじめから話を通して、一日10万円程度で勘弁してもらう。すると、ひとりのご老人を現場に派遣してきて、勝手に通行人整理なんかをしてくれるんです」
警察に撮影許可は取っただけでは安心できない。この一日10万円程度の「義理」をケチったばかりに、いらぬトラブルが発生することもある。別のワイドショー関係者が語る。
「街頭で通行人にインタビューしている様子をオンエアしたところ、中年男性からドスのきいた声で『あれはいつ撮影したんだ?』という問い合わせが入りました。『何がまずいことでもあったのかな?』と思いつつも正直に撮影日時を教えたら数日後、今度は若い女性から『ちょっと、どうしてくれるのよ!』とものすごい剣幕で電話がかかって来たんです。聞けば彼女は某暴力団幹部の姐さんで、別の男とのデート中にロケ現場に遭遇してしまい、本人も気づかぬうちにテレビに映り込んでいたという。それをたまたま番組を観ていた暴力団幹部が発見して浮気が判明。『そっちが余計なことを言わなきゃ人違いで済んだかもしれないのに。慰謝料払え』と女性は凄い剣幕なんです。この手のクレームはひじょうに多く、こういう場合はすべて顧問の弁護士に丸投げします」
では、その裏社会の組織に話を通せばすべてが丸く収まるかと言えば、ことはそう簡単には運ばない。歌舞伎町の縄張り(シマ)は細かく分かれているため、ロケ現場を見付けた別の組織が因縁を付けてくることもあるのだ。
「業界では、Kという組織に話を通せばどうにかなると言われていますが、それだけでは安心できないんです。街頭でヤクザが因縁つけてきて、『ここはオレたちのシマだ』と言い張られると反論はできないですから。以前、地回りらしいチンピラ数名に『ナニ勝手なことやってんだよ?!』と凄まれたことがあります。スタッフは撮影を中断しようとしたら、血気盛んな若いディレクターが『ちゃんと警察の許可は貰ってます。アナタ達の指図は受けません』と応戦したことがありました。これが相手の逆鱗に触れたようで、あっと言う間にロケバスがボコボコに。もちろん通報しましたが、警察官が駆けつける前に全員が逃亡。その間はわずか2~3分の出来事でしたね。『犯人が特定できたら連絡します』と言われたけものの、結局泣き寝入りでした」(前出・テレビ番組の制作関係者)
さわらぬ神にたたりなし......。ワイドショーやニュース番組で、歌舞伎町での街頭インタビューやロケが異常に少ないのはこんな理由があるからなのだ。
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Written by 風間岳人
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