先日、警視庁は歌舞伎町などの路上に売春目的で立っている女性、24人を逮捕した。
「TBSNews」の報道によると、一斉取り締まりで逮捕された30歳の無職の女性は、売春目的で客待ちをしていたとして、男とホテル前で立ち止まったところを現行犯逮捕されたとのこと。売春をしていた目的は「ホストクラブに行く金が欲しかった」という目新しくもないものだった。
新宿に少し詳しい人間ならば、これが歌舞伎町にある大久保病院に隣接して建つ「東京都健康プラザ ハイジア」の裏手で行われた逮捕劇だとすぐに気づいただろう。夜間、ハイジアの裏手の道を訪ねると、所在なさげな様子でガードレールや石の階段に座り、携帯をいじっている女性を見かけることがある。
彼女たちの多くは売春目的であり、声をかけると交渉が始まる。すぐ近くには連れ込み専門のようなチープなラブホテルが乱立しており、そこでサービスが行われる。ホテル代別で1~3万円というのが相場である。
ちなみに、そこで商売を行うためにはショバ代が必要らしく、以前、自転車に乗った強面のおじさんが女性からお金を徴収しているところを見かけたことがある。
TBSの報道では、女性たちについて、このように報道していた。
「18歳から60歳までの24人の女を売春防止法違反の疑いで逮捕しました」
その通りでは、母親ぐらいの年齢の女性や、恰幅のよすぎる女性の姿を見かけることもあり、「彼女たちは売春目的なのか」と気になっていたが、やはり彼女たちも売春婦だったのである。立つ方の根性もすごいが、買う方もすごい。需要と供給の関係が成立しているということか。
ハイジアの背後に広がる大久保公園は十数年前は違法薬物売買の名所と言われており、一帯には怪しげな雰囲気が漂っていた。しかし、「浄化作戦」の一環なのか、数年前にフェンスで覆われ、夜間は立ち入ることができなくなり、さらに最近はアイドルグループのライブやB級グルメのイベントなどが行われるようになった。
それに伴い、ハイジアの周囲に立つ女性の姿も全盛期と比べると減少しており、一時期はほとんど姿を見かけないこともあった。
「売春婦の立つスポットとしては終わってしまったのか?」
わたしは気になった。まだ、スポットとしての価値があるなら、客が訪れるはずだ。
そのとき、わたしは当時付き合っていた彼女と歌舞伎町を歩いていた。わたしは彼女に言った。
「なあ、ちょっと頼まれてくれないか」
彼女は激怒していたが、依頼に応じてくれた。わたしは少し離れた場所で、客待ちの売春婦を演じる彼女の動向をうかがう。
時刻は19時。人気のない裏通りには寒々しい空気が漂っている。彼女は大久保公園のフェンスに寄りかかって携帯をいじっている。すると、その前を40代ぐらいのサラリーマンが歩いていく。
客か? 違うのか?
しかし、サラリーマンは彼女の前を素通り。違ったか......。
さらに待つこと数分。すると先ほどのサラリーマンが戻ってきて彼女に声をかけている。彼女は顔を上げて、2、3言会話をしている。サラリーマンはその後、帰っていった。彼女がわたしのところに戻ってきて報告する。
「ホテル別で2万円でどうだって」
ハイジア裏でまだ売春が行われていることが確認できた。それから数年後、今回の一斉摘発が行われ、売春スポットとしての歴史は一旦幕を下ろすことになった。歌舞伎町の「裏観光スポット」の1つが消えてしまうことを考えると、少しさびしい気もするが、世の中的には良いことなんでしょう。
ちなみに、その時、取材に協力してくれた彼女がわたしの嫁です。
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Written by 草下シンヤ
Photo by Liu Wen Cheng 我希望成為GOW3
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